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“憩いの場”に値上げの波…都内の銭湯「入浴料」最大500円の見通しも

2022年6月10日 21:43
“憩いの場”に値上げの波…都内の銭湯「入浴料」最大500円の見通しも

地域の憩いの場にもなっている銭湯にも、値上げの波が押し寄せています。2年連続の値上がりで、今後、大人の入浴料は500円になる見通しだといいます。経営者の高齢化、施設の老朽化などにより、銭湯をたたむ人もいる中、燃料費の高騰がさらに拍車をかけています。

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大きな煙突に、入り口でゆれるのれん…“地域の憩いの場”にもなる銭湯。都内ではその入浴料が、燃料費高騰などの影響を受け、今後、値上がりすることになりました。

東京都公衆浴場業生活衛生同業組合 近藤和幸理事長
「現在は480円なんですけど、500円に上がるということで」

都内の銭湯の入浴料は、組合などの審議により、値段の上限が決まるといいます。大人の入浴料は、2年連続の値上げになりました。また、子供の入浴料も22年ぶりの値上げとなります。

今後、知事の決定を経て、早ければ来月にも値上げが適用される見通しです。ただ、この値上げは“銭湯を守るために必要だ”といいます。

近藤さん
「お客さんに負担をかけるのは、我々にとって一番苦しいことなんですけど、廃業する銭湯が少しでもなくなればいいかなと…」

都内の銭湯は、月に1~2軒のペースで廃業をする人がいるといいます。東京都によると、戦後、都内で最も銭湯の数が多かったのは、1968年の2687軒でした。30年後の1998年には自宅の風呂の普及率が90%以上となり、銭湯の数が半減。今年4月の時点では、500軒以下となっています。

経営者の高齢化、施設の老朽化などにより、銭湯をたたむ人もいる中、燃料費の高騰がさらに拍車をかけています。東京都公衆浴場対策協議会の試算によると、本来は567円まで値上げをしないと採算がとれないといいますが、家計への影響が大きいとして、500円にとどめたということです。

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今回の20円の値上げに心苦しい思いをしていたのは、杉並区にある銭湯「第二宝湯」です。

第二宝湯 伊藤徳司店主
「毎日来られている方とかね、『ちょっと(回数を)減らそうかな』とか、そういった影響も出るんじゃないか…」

しかし、燃料費が去年の1.5倍となっているため、値上げを決めました。

伊藤さん
「この1年、燃料費の増加が本当にすごくて、浴場主としては(20円の値上げは)少し上がるのは、実は少し助かる」

こちらの銭湯では、ドクダミやラベンダーで入浴剤を自家製にするなどして、コストを少しでも抑えていきたいとしています。

銭湯の利用者にも話を聞きました。

毎日銭湯を利用(20代)
「自分の家にお風呂がなくて、毎日、銭湯生活をしているので、(500円になるのは)残念かなとは思うんですけど、でもやっぱり銭湯あるのが私にとってはありがたいので、それで銭湯がこれからも存続してもらえれば」

銭湯にも迫る「値上げの波」、私たちの“憩いの場”にも影響が出ています。

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