声優・小西克幸「1年だと48個」 仕事に対するモットーとは【伊藤遼の声優 一答遼談】
■アニメ業界への思い “声優”以外にも目を向けてほしい
――今の声優人気についてどう思っていますか？
とてもありがたいと思います。キャラクターがいて僕たち声優がいられるので、キャラクターだけ皆さんに見ていただければいいなと思うんです。でも、やっぱり声優というものが世の中に出るようになって、職業としても認知されて目指してくれる人も多いし、裾野がどんどん広がっていって、よりいいものができていくのではないかと思うんです。声優もそうですけど、アニメーターやアニメ音楽を作られる方などにも目を向けていただけるとうれしいです。
――声優さんをきっかけに、もっとアニメ業界に興味を持ってほしいですか？
（クリエーターの）皆さんのおかげでアニメーションが作られています。僕ら声優は最終段階の声を吹き込む、キャラクターに命を吹き込むというお仕事です。アニメを完成させている人たちは他にいっぱいいるので、その人たちがもっとピックアップされるとうれしいなと思います。海外とかのイベントに行くと、クリエーターたちがものすごく人気なんですよね。日本もそうなってくれるとうれしいなと思います。
■アニメ『Helck』“最初はギャグアニメかなと思った”
――アニメ『Helck』の見どころは？
変な人たちがいっぱい出てくるギャグ漫画、ギャグアニメかなと思って見ていたんです。ところがちょっと先に（ストーリーが進んで）いくと、主人公のヘルクの過去の話とかになって、「あれ？これって同じ作品なの？」っていうような展開になっていく。そこがもう胸アツでとても面白かったですね。
――どのように役作りをしましたか？
本当に思っている心情とかっていうのは、その絵で表現してもらえればいいかなと思っています。だから、僕はあまり難しいことを考えずに“朗らかなヘルクでいようかな”っていう役作りでしたね。自分ができないところっていうのは、他のスタッフさんが表現してくださると思っているので、みんなで一人のキャラクターを作っていくみたいな。感覚的には僕はあくまでも声を担当っていう感じですね。俳優とかと違って、僕たちがいくら表情とか動きでお芝居してもそれは一切（アニメには）のりません。皆さんが目にする視覚的な部分はアニメーターが一生懸命、いろんな表情を描いてくださったり、動きを表現してくださったりしているものなので、一人で全部はできないんですよね。アニメーションって。
■小西克幸「1週間に1個やりがいを見つける」
――声優をしていて大切にしていることは？
楽しむことなんじゃないですかね。どの職業もそうだと思うんですけど、一番最初のお客さんって、自分や自分の周りにいるスタッフ、共演者たちが楽しくないなって思っちゃったら、多分楽しくないんですよね。だから、自分が楽しむ。さらには周りの人を楽しませるっていうことが一番なのかなと思ってやっています。1週間に1個でもいいので、仕事に対する楽しみを見つけていくと、どの職業も心持ちが変わっていくんじゃないかなと思うんです。1週間に1個楽しいことややりがいを見つけたら、1か月で4個見つけて、1年だと48個見つけられる。そう考えるとそんなにあるのっていうぐらい見つけられるじゃないですか。1週間に1個でいいんですよ。それをやるだけで多分、だいぶ景色は変わってくるんだろうなと思います。
【小西克幸プロフィル】
和歌山県出身。『鬼滅の刃』の宇髄天元や『べるぜバブ』の男鹿辰巳、『天元突破グレンラガン』のカミナなど、数多くの人気作品で主要キャラクターを演じる。第9回声優アワード助演男優賞に輝く。特技は殺陣。漫画を読むことも好きで、自身のSNSでは読んだ作品を紹介している。
【お話を聞いて一答遼談！（編集後記）】
勇敢でかっこいいキャラクターを演じることが多い小西さん。周りの方への感謝と自分が楽しむことを忘れないその姿勢は、小西さんが担当するキャラクターに共通していると感じました。
インタビュー時に話しているお声と、アニメでのお声が違うと感じる瞬間が多かったのも印象的です。
“声優はあくまで声を担当”と話す小西さん。アニメを作る人たちを信じているからこそ生まれる言葉だなと思いました。私もこれまで以上に制作スタッフの皆様にフォーカスを当てて、アニメを楽しみたいと思います。
企画・取材：日本テレビ 伊藤遼
