倉本聰「見事な女優さんでした」 いしだあゆみさんを追悼、『北の国から』撮影現場で見た役者魂

■「他の役者たちにショックを与えて・・・」役者魂を明かす
いしださんの人柄については「見事な女優さんでしたね。かけがえのないというか、新しいところも古いところも両方をきちんと演じ分けられる、非常にまじめな女優さんでしたよね」と思いをはせました。
『北の国から』の撮影では印象に残っていることがあるそうで「テレビの撮影っていうのは役者を大事にするでしょ。特に『北の国から』はあの時ものすごく寒いところで、野っ原の真ん中で冬に撮ってましたので、1カット終わるとすぐにスタッフがみんなを火のそばにすぐに連れていくんですよね。それで温まらせるんです。ところが、あゆみちゃんだけはね、『私は今4キロの道を歩いてきたという役の設定だから、あったかいところに行っちゃったらその感じが出なくなるから、表にいます』と言って、寒い中でひとりで立ってましたね」と語り、続けて「これがもう田中邦さん(田中邦衛さん)をはじめ、地井武男とか、他の役者たちにショックを与えて、それで他の人たちがピリっとしちゃったんですね」と、当時を振り返りました。
そして、最後に「僕はもう90(歳)過ぎちゃって、僕のほうが当然先に逝くと思ってましたから、早すぎるよっていう。もう一度ゆっくり話したかったなあという感じですね」と別れを惜しみました。