松山ケンイチ、大学の授業で介護に言及「一人でも多くの人がこの社会問題に関心をもつことが大切」
■授業のテーマは介護…“介護殺人”について考える
授業では“介護殺人”について掘り下げ、42人の老人を殺してしまった主人公・斯波へ、どのような刑罰が必要なのかについて議論されました。検事役を演じた長澤さんは「とっても難しい問題なんですが、斯波がした行為というものは許されるものではないと思いますし、厳しい刑罰を受けることは必要なのかなと思います。だけど、斯波自身は自分がしたことに対してこれは“救い”だと、彼の正義のもとに語っているものなので法的な刑罰というのが、斯波にとってそれが罰として捉えられたのか難しそうに思います。悪いことをしたから罰を与えるということだけではないと感じました」と持論を語りました。
■介護の問題点を指摘「立場によって見てる景色が全く違う」
介護士としての信頼を得ながらも、42人の老人を殺してしまった役について松山さんは「すごく意識したところがあるんですが、斯波は皆さんと何も変わらない、異常者ではないというのを大事にしました」と役作りについて明かしました。
続けて介護の問題について「外側からみていると事件ということだけで見てしまって、誰かに助けを求めれば良いのにと思ってしまうと思うんですけど、そうではない状況が裏側にある。立場によって見てる景色が全く違う。それを防ぐために、誰かと話をしたり介護することを共有する、どういうセイフティーネットがあるのか調べる選択肢を持っておいてほしいと思いますね。周りの人たちが孤立させない事が大切です」と語り、社会福祉学部の学生に対し「皆さんもこれから介護を経験されたり、介護の仕事に携わっていく方もいると思いますが、介護についてたくさんの人と共有していく事で救われる命が増える可能があると思う。学んだ人だけが見えているものではなくて、たくさんの人が見えていないといけない課題だと思います」と語りかけました。
さらに授業の最後には「支援者の立場としてサポートする事があった時には、目の前にいる人達の背景に思いを馳せてほしい。介護者へも支援が必要。そして何よりも大切なのは一人でも多くの人がこの社会問題に関心をもつことが大切」と呼びかけました。