声優・大塚剛央 『薬屋のひとりごと』や『【推しの子】』に出演 「後悔はしないと決めて飛び込んだ」声優の世界
■大塚剛央 声優は「可能性にあふれている世界」
元々アニメをよく見ていたという大塚さんが、声優を目指し始めたのは大学時代。就職活動がうまくいかず、将来を真剣に考えたときに、声優を職業と認識するタイミングがあり、目指していい仕事なのだと気付いたことがきっかけだそうです。そこからはやってみたいという気持ちと勢いのまま、声優への道を歩み始めたといいます。
――声優を目指す中でぶつかった“壁”は?
お芝居というものは難しいし、奥が深いなというのは今でも思います。声優になるまでお芝居の経験もありませんでした。せいぜい学芸会とかそういう出し物みたいなものぐらいでしかなかったので、僕の中では結構、空っぽで挑んだというか、何でも吸収してやるぞみたいな気持ちでいました。当初は、その苦労を苦労だと思っていなかった節があって、実際に声優になってから、その部分の苦労というか難しさみたいなのにぶち当たって、いろいろ経験して(今に至る)という感じですかね。
――声優の楽しさはどんなところに感じますか?
お芝居って楽しいなっていうのが一番あります。あとは、声優って他の役者業とはまた少し違って、どの年齢でも、例えば、人種・種族・動物・何でもなれる、そういう機会がある。すごく可能性にあふれている世界だなっていうのは感じますね。
■壬氏の特徴は「外見と中身のギャップ」
華やかな後宮を舞台に悠木碧さん演じる“毒見役”の少女・猫猫(マオマオ)が後宮内で次々と起こる難事件を解決していく『薬屋のひとりごと』。原作はシリーズ累計3100万部を突破し、日本テレビ系にてアニメが現在放送中です。大塚さんは猫猫と共に事件を解決する美形の宦官・壬氏を演じています。
――壬氏のポイントはどんなところ?
外見と中身のギャップみたいなものは、壬氏の一つ特徴というか、面白いところだなとは思っています。自分の利用できるものを利用するあの姿勢、それによって他人をコントロールするという狙いもあるんだろうなと思ったら、猫猫と接している時に、不意に出る素の時とか、あとは素の壬氏といっても猫猫との関係と(壬氏に仕える宦官の)高順(ガオシュン)との関係みたいなのも違うと思うので、そのあたりのちょっと細かい違いみたいなものは、意識して演じたし、ディレクションもいただきながらやらせてもらったので、見てほしいなっていうところではありますね。
『薬屋のひとりごと』や『【推しの子】』といった話題作に出演し、この1年で大きく飛躍を遂げた大塚さん。視野の広がりとともに、実感していることがあるといいます。
――この1年で成長したことはありますか?
この1年ということではないかもしれないですけども、確実に視野は広がったなと思っていて、それはやっぱりお仕事としてもそうですし、あと年齢を重ねていくにつれて、やっぱり経験もそれによって増えていくんで、今まで見えてはなかったものが見えてきたりとかして、だんだん視野が広がっていって、それが仕事にも生かされているな。もちろん生かしていこうとは思っているんで、そういう実感もあります。あとは変な緊張もしなくなりました。余計な緊張というか、体がすごくカチカチになって縮こまっちゃうような、そんな緊張…。そういう緊張をしなくなって、だからこそ自分の表現したいことっていうものも、前よりも自由にできるようになったのかなって、改めて振り返ると感じる部分ではあるかもしれないですね。
――夢を目指す人々に、アドバイスを送るとしたら?
本当にやりたことがあるけど躊躇(ちゅうちょ)していることがあれば、きっといろんな理由はあると思うんですけど、もし踏み込める可能性があるのなら、ぜひそこは踏み込んでいってほしいなと思います。僕自身がそうだったので。それこそ(声優になった当初は)お芝居の経験がなかったと言いましたけど、やってみなきゃわからないなっていうのは本当に僕は実感としてあります。まずは、やりたいことがあるのなら、自分の納得いくまでそこに突き進んでいくのが一番いいのかなと思いますね。
――ゼロからのスタートで挑んだ声優という道に後悔はないですか?
後悔はしないと決めて飛び込んだので。僕自身の考えとしては、やらない後悔より、やる後悔の方がいいかなと思っています。まずはやってみるのがいいのかなと思いますね。
【大塚剛央プロフィル】
東京都出身。オープニングテーマとして起用されたYOASOBIの『アイドル』も話題となった『【推しの子】』のアクアや、現在放送中の『薬屋のひとりごと』で壬氏などを演じる、今注目の声優。趣味はゲーム。特技はサッカー。
【お話を聞いて一答遼談!(編集後記)】
大塚さんの「やらない後悔よりやる後悔」という言葉には力がありました。どうしても現実を見てしまう就職活動のタイミングで、自分のやりたいことに進むことにどれだけの勇気が必要か。大塚さんの声優を目指した時の気持ちと今の姿は、多くの人の「夢」を「目標」に変えてくれるものだと感じました。
企画・取材:日本テレビ 伊藤遼