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いしだあゆみ、初日舞台あいさつで黙とう

2011年5月21日 20:26
いしだあゆみ、初日舞台あいさつで黙とう

 支え合う人の心の優しさをテーマにした映画「エクレール・お菓子放浪記」(近藤明男監督)が公開初日を迎え21日、子役の吉井一肇(12)、女優のいしだあゆみ(63)らが都内で舞台あいさつを行った。

 早くに両親を亡くした少年・アキオが、さまざまな人との出会いや別れを繰り返し、戦中・戦後を必死に生き抜く物語。お菓子が、厳しい時代を生きていくアキオ少年の心の糧となる。

 撮影は昨冬、宮城県で行った。ロケ地でもあった石巻市の「岡田劇場」で4月23日から先行公開する予定だったが、公開前に東日本大震災が発生。建物は津波で流されてしまった。このため、東北での公開は見送られ、都内から上映がスタートした。

 登壇者はあいさつ前に、約200人の観客とともに被災地へ黙とうをささげた。アキオを演じた吉井は「僕は約1カ月間、石巻市で、1人で生活しました。石巻の方々や宮城県の各地域の方々が僕を支えてくださったので、何とかやりきることができました」と感謝の言葉を述べた。さらに「でも、支えてくださった方々は被災してつらい思いをしています。その方々にできるだけ早くこの映画を見ていただいて、元気になってもらいたいです」と小学6年生とは思えない、しっかりしたあいさつをした。

 アキオを引き取ることになる、お金にうるさいおばあさん野田フサノを演じたいしだは「監督が私をイメージしてお書きになったというのを聞いて、喜んでいいのか」と苦笑いしつつも、「(時代設定が)今じゃないですよ、戦後すぐですから。そういうおばあさんがいた気がする」と自身の記憶と重ね合わせた。

 撮影に協力してくれた宮城の人へ「何のお礼もできないですけど、この映画にはすばらしい、美しい日本が映っています。この映画がヒットすれば宮城県の方もきっと喜んでくださると思います。1人でも多くの方に見ていただけるようにお力を貸してください」と被災地復興への思いを作品に託した。

 吉井は役者の大先輩であるいしだとの共演を振り返り、「けんかをするシーンで『もっと本気でぶつかってきなさい。本当にけんかするんだからね』って教えてくださいました。それを聞いて、そうしないと本当のお芝居にならないんだってその時初めて分かった。すごいことを教わったなとうれしかったし、なんかよかったです」と目を輝かせて語り、笑いを誘った。

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