稲垣吾郎 「そのひと言がとても響く」 監督との話し合いで乗り越えた難役への挑戦
現在公開中の映画『正欲』は、直木賞作家・朝井リョウさんの同名小説が原作で、稲垣さんのほか、新垣結衣さん(35)、磯村勇斗さん(31)たち、豪華キャストが出演。人が生きていくための推進力になるのは何なのかということをテーマに、家庭環境など、様々に異なった背景を持つ人たちの思いが描かれた物語です。稲垣さんは、検察官として横浜検察庁に務め、妻と息子と3人でマイホームに暮らす寺井啓喜(てらい・ひろき)を演じています。
映画は、公開から1か月で観客動員数は20万人を突破。台湾や香港でも上映され、大きな反響を呼んでいるといいます。稲垣さんは「僕たちが伝えようとしている人間の生き方がストレートに伝わったのでは」と、しみじみ語りました。
今回、稲垣さんが演じたのは、映画の中で価値観が揺れ動く難しい役どころ。役作りの難しさについて聞かれると「映画は順番に撮影していくことはなかなかできないんですよね。なので、(稲垣さん演じる)啓喜の中の心の変化のグラデーションを監督とさじ加減を話し合いながら作り上げました。なるべく小さな表現というか、あまり大きく演じたくなかったので。後は監督が寄り添ってくれて導いてくれましたので」と明かしました。
今回、岸監督たってのお願いで主演に起用されたという稲垣さん。監督が「稲垣さんがこの映画に出ていただけるというところで90%(映画の)イメージができました。そこで僕が10%分、ひと言何か言うことで、これまでの稲垣さんではないくらいパワーを発揮してもらえるのではと思った」と話すと、稲垣さんは「カメラが回る前に僕のところに来て耳元でボソボソって、ひと言伝えてくれる。そのひと言がとても響くんですよね。たぶん(共演者の)みなさんもそうだった」と感慨深げにコメント。
さらに、稲垣さんは、いきなり「ねっ、そうだよね?」と、傍らに置かれたポスターパネルに写る新垣結衣さんと磯村勇斗さんにマイクを向けて同意を求め、会場を笑いに包みました。