市川團子 20歳 舞台を乗り切るための勝負メシを明かす スーパー歌舞伎の主役に初挑戦
『ヤマトタケル』は、2023年9月に亡くなった團子さんの祖父・猿翁さんが“スーパー歌舞伎”という新たなジャンルを確立し、スーパー歌舞伎の第一作として1986年2月4日に上演。日本神話のヤマトタケルの波乱に満ちた半生を題材にした名作です。初演と同じ2月4日から祖父と同じ主人公を演じている團子さんは、白鳥となって客席の上を飛ぶ名シーンのひとつ“宙乗り”にも挑戦しました。
■宙乗りは「作り込みが一番必要」
――初日を終えた心境を教えてください
悔しいなという思いがあって自分に甘えていたり、そういう部分で本当はここまで突き詰めたかったのにそういうのができてないところがあるのでそこがすごく悔しいです。ずっと憧れの役だったんですけど、いざさせていただくと本当に祖父の偉大さをただただ痛感しました。
――お客さまの目の前で宙乗りをされていかがでしたか?
これまで宙乗り何回かさせていただいたんですけど、見るところとか一番宙乗りしている時に意味を考えました。 哲学的な作品なので、宙乗りする時の意味とか何を考えているかっていう作り込みが一番必要だなと思いました。飛ぶ時にどういう景色を見るかとか最後に入る時に見る景色は、僕は何か夕日みたいな感じで思っていて、ずっと飛んでいることを幕が終わっても想像していただけるようにしたいとは思いつつもできませんでした。宙乗りは、そこまでの人生の集大成なので、前の場面がよくなったら宙乗りもよくなるのではないかなと思います。
■大学に通いながら歌舞伎の舞台…今年の始めたいこと
2012年、8歳のときに『ヤマトタケル』で初舞台を踏んだ團子さん。そして、20歳という節目の年に、憧れの祖父・猿翁さんが演じた主役に挑んでいます。祖父・猿翁さんが主演・脚本・演出を手がけたスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』は、3S(ストーリー・スピード・スペクタクル)を重視することが特徴で上演時間は3時間以上に及びます。 大学に通いながら舞台に立つ團子さんにとって、原動力になっているものや今後の目標などを伺いました。
――舞台に立つ原動力になっている趣味とか、息抜きになっているものはありますか?
K-POP聴くことです。BTS・NewJeans・LE SSERAFIMなどミーハーに聴いていると思います。グループでいうとBTSが好きです。振りとかを覚えたりすることもありますし、鏡の前で踊っています。
――3時間以上に及ぶ作品ですが、体力面でも大変ですか?
体力面は異次元の作品だなと思います。三幕ほぼ出ている役は初めてなので、朝、お風呂にちゃんと入って加湿するとか、ご飯を想像以上に食べないと絶対にやせるので、たくさん食べたいと思います。(勝負メシは)カツ丼か焼き肉です。きょうもカツ食べてきました。とにかく肉と米で頑張るって感じです。
――公演中、楽屋に置いてあるものは?
その公演にゆかりのある神社のお守りとかお塩も去年から置いていて、なぜかというと足がつるので、その神社のお塩でお清めももちろんありますし、塩分がなくなると足やカラダがつるのでそれの対策でもあります。
――今年始めたいと思っていることは?
本をたくさん読むことです。台本に書き込みする時にぴったりの言葉が見つからないと気持ち悪くて、 「ここの感情はこうだ」って書くときに、長々簡単な言葉で説明したらできるんですけど、それを一言でパッてやらないと時間がかかるし、「この単語だ」ってすぐに出るようになったらいいなって思います。「ぼう然とする」とかがぼんやりするとかじゃダメで、何かぼーっとするんだと代用できますけど、ぼう然という単語がいいとかそういうのがあって、それがパッと出てくるのは語彙力(ごいりょく)だなって思います。 祖父もとても本読む方でしたし、論理的な方だったので、本をたくさん読めるようになれたらいいなって思います。 祖父は台本の書き込みもとてもすごかったって、祖父のお弟子さんの方からも伺うので、祖父は芸談でも作り込みがすごい人なので、そういうのは知識量にも由来するかなと思います。
――大学で学んでいることが舞台に生かされることってありますか?
比較芸術学科っていう学科にいるので、新歌舞伎の授業もあって児童文学という授業で作品の法則みたいのがあって、その目線で『ヤマトタケル』を見たら見事に当てはまってるっていうのが面白かったです。
――今年の目標は
男らしくなることです。潔くなりたくてダラダラしてるので、祖父が男らしくてテクニカルリハーサルとか待ち時間すごい長いんです。ずっとかつらかぶってると痛くなる時とかあるんですけど、ずっと黙ってじっと待っているっていう我慢強さとか潔さっていうのは自分に足りない部分だと思うのでそれを強くしたいです 。