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なぜ店員がタメ口? 『友達がやってるカフェ』を手がけるワケ

2023年5月6日 8:05
なぜ店員がタメ口? 『友達がやってるカフェ』を手がけるワケ
『友達がやってるカフェ』

まるで友達のアルバイト先に遊びに行ったような気分になれるというカフェ『友達がやってるカフェ』が、東京・原宿にオープンしました。

店内に入ると、「お~いらっしゃい。来てくれたんだ」と、タメ口で手を振りながら出迎えられ、席に案内される際も「あ~! 久しぶり。え、何年ぶり?」と、まるで昔から友達だったかのような接客を受けます。さらに、メニューにも“友達感覚”を楽しむ工夫がなされていて、「店員さんの間で一番人気なのってどれ?(クリームソーダ)」や、「大変そうだから、すぐ出せるので大丈夫だよ(ドリップコーヒー)」、「サッと出てくるおつまみ、何かある?(オリーブ)」、「なんだっけ、あの丸いお菓子の…(クッキー)」などと、バイト中の友達に話しかけるようなセリフがメニュー名になっています。

■なぜタメ口? 新しい顧客体験の“実験”

手がけたのは、コーヒー屋のフリをしたバー『JANAI COFFEE』や、“やだなー”と思う事象をあつめた『やだなー展』などをプロデュースする株式会社kakeruの代表・明円卓さん(33)。社員がふと、「近くに友達がやってるカフェがあるので寄っていいですか?」と発したセリフが、おしゃれでうらやましいと感じ、自分も“友達がやってるカフェあるからいかない?”と誘えるお店があったらいいなと思ったことが、着想のきっかけだといいます。

日本ではお客さんに対して、敬語で丁寧に接するのが一般的ですが、いままでとは違う“新しい顧客体験”を目指しているといい、明円さんは「日本だと“お客様は神様”という大切な文化があると思うのですが、お客様と店員の目線を等しくしてみた時にどんな体験が生まれるんだろう?と、それを実験しているつもりです」と明かしました。

■若い世代だけでなく、親世代の来店客からも「よかった」の声

SNSでカフェの存在を知り、横浜から来たという16歳と53歳の親子は「タメ口ってめちゃくちゃめずらしい」と楽しそうな子に対し、父親は「自分は(タメ口)慣れていないから…でもよかったんじゃないですか。なんだかんだ話していても話しやすかったし」と感想を話しました。

また、仙台から来たという26歳の2人組は「入るとき緊張したよね。でも入ったらそうでもなかった。気楽に感じて、おいしいごはん屋さんとか教えてもらいました」と笑顔を見せました。

■“友達感覚”で「お店の中がポジティブな雰囲気に」

店舗は、午後5時半からは『友達がやってるバー』として営業。メニューには「この間飲んだ、あのお花が乗ったカクテルってなんだっけ…(フローラルスプモーニ)」や「これってさ、夏にみんなで飲んだやつ?(トロピカルクローバークラブ)」などが用意されています。

明円さんは「意外と店員さんってこれくらいの感じでもいいじゃない? というポジティブな反応があったり、お店の中がポジティブな雰囲気に包まれているというのが楽しい発見。“お客様は神様”文化を破壊したいとか、なくしたいという思いは全然なくて、こういう接客があっていいのではないかと一つの提案として受け取ってもらえればと思います」と語りました。