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元宝塚トップ・安蘭けい 「全然動じない、神なんですよ!」相手役・遠野あすかが語る“スゴツヨ”エピソード

2022年7月21日 20:10
元宝塚トップ・安蘭けい 「全然動じない、神なんですよ!」相手役・遠野あすかが語る“スゴツヨ”エピソード

宝塚歌劇団・元星組トップスターの安蘭けいさん。縁ある元タカラジェンヌたちが安蘭さんの“スゴツヨ”なエピソードを明かしてくれた。相手役の元星組トップ娘役・遠野あすかさんは「神なんです!」と興奮気味に語る。安蘭さんの“その後”や人生観に、熱烈な宝塚ファンである日本テレビアナウンサーの安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が迫った。(・  中・後編の中編)  

■スターが明かす“スゴツヨ”エピソード

(中島アナ):今回、安蘭さんに縁のある方に取材しました。安蘭けいさんの“スゴツヨ”エピソードと題してご紹介してまいります。まずはこの方、下級生時代を知る元宙組スター・初嶺麿代さんです。エピソードは『出番3秒前まで人助け』です。初嶺さんが「研1」(入団1年目)のとき、新人公演の初めての本通しのお稽古の途中での話です。(初嶺さんが)殺陣をしていて肩を脱臼したそうです。その時に重要な役だった安蘭さんが自ら救急車やプロデューサーを呼んだ上で、ずっとそばに付いて励まし続けてくださっていた。

(中島アナ):出番ギリギリになってみんなが呼んでも、ずっとそばにいてくれた。安蘭さんは、出番の3秒前ぐらいになった時にぱっと出ていって切り替えて格好良く演じてらっしゃった。このとき安蘭さんはまだ4年目。なのに、「この包容力はなんだ。この人についていこう」と、初嶺さんは思ったそうです。

はっちゃんが肩を脱臼したのはよく覚えています。でも、私が何かしたというのはちょっと覚えていないです。そんなことがあったんですね。私、ほっとけないんですよね。例えば道を歩いていて人が倒れていたら、その人に声をかけて、救急車を呼んであげたことが3回ぐらいありました。明らかにうずくまって苦しそうなのに、横を通っても気づかない人たちもいるんですよ。私、絶対放っておけないので。次の仕事があってもそっち優先にしちゃう。

(中島アナ):続いては、相手役として寄り添った遠野あすかさんです。エピソードは「聖徳太子で神」ということです。

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(元星組トップ娘役・遠野あすかさん)
「人がされているダメ出しまで全部覚えていらっしゃるんです。私が『あれ?昨日なんて言われたっけ』と思うと、教えてくださったりする。この方は一体何人のダメ出しを覚えているんだろうと。柚希礼音さんのも覚えている。私が何かダメ出しをされたら、それを私がクリアしやすいようにふってくれたり前の芝居でそう言いやすいようにしてくれたり、その場所に行きやすいようにしてくださったり。トップさんなのに人へのフォローがものすごくて。技術とセンスと同時に聖徳太子みたいにいろんなことができる方です」

「(私が)カツラを落とした時も、それも振りの中ですか?という感じで取って、そのままとうこさん(安蘭さん)は舞台に居残りだったけれど、私がはける時に渡してくれました。もう全然動じないんですよ。神なんですよ!」
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全然覚えていないですね。それはそのダメ出しが私に何か影響することだったんじゃないかな。流れの中のダメ出しだったから、覚えていたんじゃないかと思います。ただその頃は、本当に記憶力が良かったです。振りも一発で覚えたし、今思うとすごかったなと思います。今はちょっと無理ですけど、あのころはスポンジみたいな脳みそだったな。

(本番中のトラブルも)すごい冷静なんです。そういうアクシデントとかハプニングは自分でもわからないぐらいの冷静さになるんです。自分がその場にいると「あ、これどうにかしなきゃ」「次、自分がこう動くからここに取りに行けるな」とか。そういう才能はありました。常に舞台上では何かこうアドレナリンが出ている感じで、どんなことでも対処して。

宝塚ってそういう方すごく多かったですよ。上級生も見事なフォローのしかたをする。それがまるで失敗じゃないように見せたり、歌詞を忘れても(その場で)作詞して歌ったり。私も歌詞を忘れた時は感極まって泣く振りとか、やっていましたし。

■真飛聖さんからの「珍事件」エピソード

(中島アナ):もうお一方、真飛聖さんからは珍事件の“スゴツヨ”エピソードをいただいております。「安蘭さんは本当に努力家ですし、年々美しさが増していますし、心から尊敬している方です。ただ、そんな“スゴツヨ”な、とうこさんですが、忘れグセや珍行動がこれまたすごいんです。事情聴取してください」とのことです。まず、1つ目は「ATMでお金をおろしに行ったのにカードだけ受け取りお金を取らずにその場から去ってしまった」。また「検診の当日の朝、もうこの時間からは水だけしか飲めないと話した直後にコーヒーを頼んじゃった」。あとは、「地方公演で移動日、大阪方面に乗ったはずの新幹線、着いたら終点の東京駅だったよ事件」です。

ありました。品川から乗って逆方向へ行っちゃって。自分の座席に行ったら、家族連れが向かい合って座っている。私は横に立って「私の席なんですけど…」と言ったら「次、東京ですよ」って。私、確認しないで来た電車に乗る癖があるんです。あの時はショックでしたね。

(中島アナ):あと2つあります。地方公演への移動日、「家にお財布を忘れてきちゃったよ事件」。他のキャストさんも同じ新幹線だったけれど、なんだか恥ずかしくてお金を借りることもできずにいたそうです。そして最後です。歌や人の名前を間違っておしい!感じのことがよくありまして、先日は『崖の上のポニョ』の歌を歌いたかったのでしょう、「がーけがーけがけ魚の子♪」とご機嫌に歌っておられました、とのことです。

あったな。しょっちゅうやります。なんとなくの感じで覚えるんですよ。カタカナとか特にね。この番組もずっと『アプリジェンヌ』と言っていました(笑)。

■現役タカラジェンヌに対しては「母親の気分」

(安藤アナ):舞台人として安蘭さんに憧れているタカラジェンヌの皆さんがたくさんいると思います。今の宝塚はどう見えていますか。

退団して13年経ちます。はじめは厳しい目で下級生にダメ出ししなきゃいけないと思っていましたけど、今はもう母親の気分ですね。娘たちを見ているような感じになります。不思議な感覚です。かわいいなと思うし、一生懸命やっている姿が愛おしい。みんなを無条件で応援しちゃいますね。だから見に行ったら下級生が『ダメ出しをお願いします』と言うけれど、ダメ出しなんか本当にない。みんな楽しんでやってくれたらそれでいいと、いまそんな境地になってしまいました。

(安藤アナ):特に宙組トップの真風さんとは対談などもされていますし、退団公演のつながりもあると思いますが、いかがですか。

今は本当に頼もしいトップスターになって。新人公演を一生懸命やっている時から見たら立派になったなと思います。今ではもう押しも押されもせぬトップスターで活躍しているのを見ると、一緒にいた時代が本当に懐かしい。あの時、何か私から吸収してくれることがあって、それが今につながっていたらこんなにありがたいことはないと思いますね。

 (後編へ続く)

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  『アプレジェンヌ 〜日テレ大劇場へようこそ〜』は日テレNEWS24のシリーズ企画。元タ カラジェンヌをお招きし、日本テレビアナウンサーで熱烈な宝塚ファンである、安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が、ゲストの宝塚時代・退団後の生き方に迫ります。次回は元月組トップスターの珠城りょうさんです。

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