オスカー獲得『ドライブ・マイ・カー』 濱口監督が喜び語る「端的に言うとマジか!」
アメリカ・ロサンゼルスで行われた第94回アカデミー賞の授賞式で、『国際長編映画賞』を日本映画として13年ぶりに受賞した『ドライブ・マイ・カー』。受賞後に会見が行われ、主演の西島秀俊さん、岡田将生さん、霧島れいかさんとともに出席した濱口竜介監督が喜びを語りました。
――受賞の感想は?
うれしいです。ノミネートされるだけでもすごいことだと思っていたので。こうして受賞ができるとは、本当に思っていなかったので、本当にありがたいことだと思っています。
――オスカー像を手にした時の感想は?
重いということを思いました。ポン・ジュノ監督が2年前にとった時、片手で軽々と上げられていたので、意外と軽いのかなと思っていたら、すごく重かったので、ビックリしました(笑)
――授賞式でのエピソードはありましたか?
みんなでエレベーターを待っていたら、(俳優の)カンバーバッチさんやスピルバーグ監督とかに会って。スピルバーグ監督は『本当おめでとう。映画にふさわしいものだ』と言っていただけました。スピルバーグ監督自身も『とても好きだ』と言っていただけて、本当にすごい日だなと思いました。
――映画が受け入れられた理由は?
アメリカの観客というのは、ある種厳しいところがあって。面白いか面白くないか。見ていくところがあるんだと思っていますので。アメリカの観客の厳しい目線に耐えるような役者さんたちの素晴らしい演技がこの映画にはうつっていて。この役者さんたちの感情を感じて、アメリカの観客も、肌の色も言葉も違うけれど同じ人間なんだと、同じ弱さを抱えていたり、同じ傷を抱えていたりする人間なんだと、受けとめてもらったんじゃないかなと思います。
――スピーチはいつ考えた?
ここにいる役者さんの名前をあげて感謝したいと思っていたので、役者さんのいる位置を覚えておいて、その辺にいるはずだと思って見ているという感じでした。スピーチに関しては受賞する可能性があるわけなので、少しだけ考えて、通訳の方に『こういうことで言いたいんですけど』と言ったら英語で訳していただいて。それを覚えてっていう感じです。今回学んだのは『サンキュー』っていうと終わらせられる(笑)なので、もしそんな機会が次あったら、もっとちゃんと淡々と。スタッフの方とか村上春樹さんとかに感謝したかったんですけど。もう一回やらせてとはなかなか言えなかったので。なかなか初心者には厳しい舞台でしたけど。通訳の方のおかげで、上手く終われたんじゃないかなと思っています。
――ロケ地・広島の方々へのメッセージは?
ロケ地として広島を使わせていただきました。『ドライブ・マイ・カー』の大部分を広島で撮っていて、その広島の風景の力というものに、ものすごく助けられてやっていると思います。その土地の魅力を記録して、それをそのまま映画の力にできたんじゃないかなと思っています。そうして協力いただいたロケ地の皆様にも『本当に皆様のおかげです』と申し上げたいと思います。
――映画の名前が呼ばれた瞬間は?
こういう時は傷つかないように呼ばれない可能性もちゃんと考えているものなんですけど。『あっ呼ばれた』ってことを思いましたね。まさかオスカーの授賞式で呼ばれることがあるのかと、端的に言うとマジか! という気持ちで立ち上がったという感じです。
――次に何を目指しますか?
私は直近のことで恐縮なんですが、休みたいと思ってます。休もうと思っています。休んでいたら映画が作りたくなるんじゃないかなと思っているので、そのためにも休もうと思っています。