【歌手・女優・声優】松本梨香、声の仕事を後押しした存在 「山さんができるなら私もできるか」
■初エッセイを執筆 「伝えたいことがいっぱいあった」
今回、松本さんは自身初のエッセイとなる『松本梨香エッセイ ラフ&ピース』(宝島社)を執筆。エッセイは、歌とスポーツが大好きだった少女時代、家族との思い出、芸能活動での挫折や作品との出会いと別れ、また今後の活動についても語った一冊となっています。
――エッセイを執筆することとなった経緯を教えてください。
皆さんにいろいろ今までやってきたこととか、伝えたいことがいっぱいあったんですね。だから、本でちょっと残したいなと思っていて、そんなふうに思っていたらお話をいただけたので、運命かなって思いました。
■芸能活動を始めた理由 「不思議なんですけど…」
歌手・女優・声優とマルチに活躍する松本さんは、大衆演劇の座長を父に持ち、自身も舞台役者として活動し始めました。
――芸能の道で生きていくことを決めたきっかけを教えてください。
不思議なんですけど、生まれる前に決めてきた気がするんですよ。前世でやっていた気がするんです。そう思うと納得できるんですよ。今こうやってやらせてもらっていることが、すごく難しいなと思ったことがあまりないんですよね。すごく楽しくてしょうがないし、仕事一個一個、“やるべくしてやるんだ”みたいな感覚があるんです。
“こっちの方がいいよ”とか、“こっちが”という導かれる時がすごくあるんですよね。その時に素直な気持ちでそっちに向かうっていうのかな。だから今の自分があるのかなと思います。
■「“舞台やったら死んじゃうよ”ってドクターストップ」 目の前が真っ暗な時に出会った声の仕事
――導かれる時というのは、これまでの人生を振り返ってどのタイミングですか?
いろいろあるんですけど一番大きいのは、舞台をずっとやってきていて、うちの兄が急に心筋梗塞で他界して。(兄と)双子みたいに育っていたのでショックだったんです。それで体を壊して“舞台やったら死んじゃうよ”ってドクターストップがあり、それで何ができるだろうと思って。退院した時に、すごくもう目の前が真っ暗だったんです。夢を断たれた感じで。
でもその時にいろんな方からアドバイスしてもらったり、「表現するところは舞台だけじゃないよ」と。「マイクの前でお芝居やってみたら」みたいな。それで声の仕事と出会うんですよね。
近くにいた同期の山寺(宏一)くんが、声の仕事のレギュラーが決まったという時期だったので、山さんに「声の仕事って難しい? 楽しい?」みたいな話を聞いて、そしたら「お前だったらできるよ」みたいな感じでサラッと言ってくれたので、「あ、山さんができるなら私もできるか」みたいな感覚で。それで事務所に「オーディションやらせてください!」みたいな。「ちょうど『おそ松くん』のオーディション今から行くけど行くか?」って言われて、「行く行く!」って。
■「サトシというキャラクターと出会った感じがしない」 約26年務めた『ポケットモンスター』サトシ役
様々なアニメ作品や外国映画に声を吹き込んできた松本さん、アニメ『ポケットモンスター』では、放送が開始された1997年から約26年にわたって、主人公のサトシ役を務めました。
――役に出会った時にどんな感想を持ちましたか?
サトシはほとんど自分なので。自分のちっちゃい時を思い出せばサトシになってしまうから、サトシというキャラクターと出会った感じがしないですよね。
――役を振り返って覚えていることには、どういうことがありますか?
サトシのオーディションの時のコメントに、ダジャレが書いてあったことを覚えています。“パジャマはジャマ”って書いてありました。ダジャレはちっちゃい時からすごく大好きだったし、誰にも負けないみたいなことが自分の中にあったので。もうちょっと2つくらい(ダジャレを)増やした方がいいなと思って、増やして表現しました。
――監督やスタッフはどんな反応でしたか?
監督とかみんな笑っていました。かなりいろんな人をオーディションされていたので、疲れていたんですよね。で、“何かにぎやかなのが出てきた”みたいな。みんなが疲れていたから、ちょっとこの場を盛り上げなきゃなとすごく思って。だから、オーディションを受けるというよりも、みんなを笑顔にしたいというつもりでオーディションを受けたかな。
サトシ以外にもいろいろやっていて、「サトシそのままだね」って言われて受かりました。