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芥川賞候補作に5作品 クリープハイプ・尾崎世界観、向坂くじらなどがノミネート

2024年6月13日 5:00
芥川賞候補作に5作品 クリープハイプ・尾崎世界観、向坂くじらなどがノミネート
朝比奈秋さん(左上)、尾崎世界観さん(右上)、向坂くじらさん(左下)、松永K三蔵さん(右下)
『第171回芥川賞』の候補作が13日に発表されました。芥川賞は、純文学の中・短編作品の中のから最も優秀な作品に贈られる賞です。

<第171回芥川龍之介賞候補作品>
朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』(新潮5月号)
尾崎世界観『転(てん)の声』(文學界6月号)
坂崎かおる『海岸通り』(文學界2月号)
向坂くじら『いなくなくならなくならないで』(文藝夏季号)
松永K三蔵『バリ山行(さんこう)』(群像3月号)

■朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』

朝比奈秋さん(43)の『サンショウウオの四十九日』は、結合双生児として生まれた姉妹の命の物語です。

朝比奈さんは京都府出身。2021年『塩の道』で第7回林芙美子文学賞を受賞し、2022年に同作を収録した単行本『私の盲端』でデビューしました。今回が初のノミネートとなりました。

■尾崎世界観『転(てん)の声』

ロックバンド・クリープハイプのボーカル・ギターとしても活動している尾崎世界観さん(39)の『転(てん)の声』は、声に不調を抱えるロックバンドのフロントマンの物語。自分たちのライブのチケットの高騰を心のよりどころにし、“転売される”ミュージシャンの後ろめたい興奮と欲望が描かれます。

尾崎さんは2016年に小説家でデビュー。2020年には『母影』が第164回芥川賞の候補作に選ばれていて、2度目のノミネートとなりました。

■坂崎かおる『海岸通り』

坂崎かおるさん(39)の『海岸通り』は、海辺の老人ホーム・雲母園を舞台に女性たちのゆるやかなつながりが描かれる物語です。

坂崎さんは東京都生まれ。2020年に『リモート』で第1回かぐやSFコンテスト審査員特別賞を受賞。今回が初のノミネートとなりました。

■向坂くじら『いなくなくならなくならないで』

向坂くじらさん(29)の『いなくなくならなくならないで』は、高校時代に死んだはずの親友から電話が来て、家に住みつく物語です。

向坂さんは愛知県名古屋市生まれ。2016年にポエトリーリーディング×エレキギターユニット・Anti-Trenchを結成し、ライブを中心に活動。2022年には詩集『とても小さな理解のための』を刊行。今作が初の小説で、初のノミネートとなりました。

■松永K三蔵『バリ山行(さんこう)』

松永K三蔵さん(44)の『バリ山行(さんこう)』は、会社の付き合いを極力避けてきた波多が、孤立しているベテラン社員とともに危険で難度の高い登山“バリ山行”に挑む物語です。

松永さんは茨城県生まれ。2021年に『カメオ』で第64回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビューしました。今回が初のノミネートとなりました。

受賞作は7月17日に発表される予定です。