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大人がハマる『解体パズル』 シリーズ累計出荷数60万個超え ヒットの秘密を明かす

2022年12月17日 22:05
大人がハマる『解体パズル』 シリーズ累計出荷数60万個超え ヒットの秘密を明かす
解体パズルの最新作『一本買い!!キングサーモン解体パズル』
パズルを楽しみながら、動物の体の構造や恐竜の骨格などが学べる『解体パズル』が、シリーズ累計出荷数60万個を突破し、大人を中心に人気となっています。そのヒットの秘密を、メーカーの担当者に取材しました。

解体パズルシリーズは、“遊んで、学べて、飾れる”をコンセプトに、恐竜などの古生物や、本マグロなどの食材の部位をピースにした“立体パズル”です。実物とほぼ同じ位置に各パーツが並んでおり、部位の名称と位置が一目瞭然で分かるようになっていて、最新作『一本買い!!キングサーモン解体パズル』が、11月下旬に発売されました。

解体パズルシリーズの初代は、2016年12月に発売された牛型のパズルゲーム『一頭買い!!特選 焼肉パズル-ウシ-』でした。空洞になっている牛の胴体パーツを中心に、肉やホルモンなどの部位37パーツで構成されていて、遊びながら肉の部位を覚えることができるといいます。

解体パズルの販売元であるメガハウス・トイ事業部マネジャーの大澤護さんに、“解体パズルが生まれた経緯”について聞くと、「元々は『放課後の怪談シリーズ 理科室の模型復元パズル ウシ模型』という商品でしたが、なかなか売れませんでした。しかし、このウシ模型を焼き肉店が店内に飾ってくれたり、焼き肉関連の雑誌から問い合わせがくるようになりました」と、焼き肉に関連したユーザーからの反響があったといいます。

そこで、パズルの方針を転換し、「“焼肉”に振り切って、模型復元パズルとは違うシリーズで発売するのが面白いのではないかと考え、焼肉モチーフに商品を作り替えた第1弾が、『一頭買い!!特選 焼肉パズル-ウシ-』でした」と、目線を変えた商品を発売したことで人気が出たと明かしました。

■“骨格の正確さ”を追求した『サイエンスシリーズ』

解体パズルシリーズは、食材だけにとどまらず、かつて地球上に生息していた古生物のティラノサウルスやマンモス、トリケラトプスなどをモデルにした『サイエンスシリーズ』もラインアップ。遊びながら古生物の骨格などを学び、完成品をオブジェとして飾って楽しむことも醍醐味(だいごみ)だということです。

本シリーズでティラノサウルスと、モササウルスの復元パズルを監修したのが、古生物学の専門家で恐竜展の企画から、模型やイラスト、恐竜に関する書籍の執筆などを手がけるサイエンスコミュニケーターの“恐竜くん”こと、田中真士さんです。

田中さんは、『モササウルス復元パズル』を監修した際にこだわった部分について、「とにかく“骨格の正確さ”。ここを抑えなければ良い復元は絶対にありえないので、今回も徹底的にこだわったポイントです」と明かしていて、「その上で、その骨格の構造が復元モデルにしっかり反映されるよう、特に頭部の形を中心に何度も細かい調整を繰り返しました。近年の科学的なモササウルス像に合致した独特のフォルムの再現にも力を入れたほか、今回は“背中側が暗色で腹側は白っぽく”という海洋生物の鉄則パターンに基づき、色彩にも具体的な指示を入れました」と語っています。

■パーツが少ないのに“難解”

“遊んで、学べて、飾れる”をテーマにした『解体パズル』。そこに、大人もハマるように難度を上げ、対象年齢を15歳以上に設定し、“簡単そうで絶妙に難しい、リアルな造形“という要素を加えたのが『解体パズルLite』シリーズの『納豆パズル』『にんにくパズル』『うにパズル』です。

その中でも『納豆パズル』は、4つの行程で遊ぶことができます。

①6つの納豆パーツをうまく組み合わせて容器に入れる
②フィルム、からしシート、たれシートを入れて蓋をする
③容器を3つ重ねる
④スリーブを巻く

一見、簡単そうに見えますが、納豆のパーツは見分けがつきづらく、きちんと正しい位置に収めないと蓋が閉まらず、 容器も正しい順番で組み合わせなければ重ならない、といった“絶妙な難しさ”があるといいます。

■トライ&エラー 地道な製作過程

解体パズルシリーズの製作過程について、大澤さんは「パズルの構造は、私が考えています。できた試作品が、あまりにも難しくて自分でも解けない“難攻不落パズル”ができてしまったり、逆に簡単すぎる“残念なパズル”ができてしまったり、毎回トライ&エラーを繰り返しています。パズルの難易度を調整しながら、見た目もこだわっていますので、その両立にいつも時間をかけています」と明かしました。

また困難を極めたのが、『うにパズル』の製作だといいます。大澤さんは、「工場から“殻のトゲが金型で作れない”と2度断られ、最終的に金型を1つ増やすことで何とか生産できる金型を作ったということもありました」と、振り返りました。さらに、『にんにくパズル』と『うにパズル』については、精巧に作られていることから子供の誤飲防止のために、パズルの表面に“苦み成分”を塗布するという工夫も施しているということです。

最後に、解体パズルの新作について大澤さんは「来年、新商品の発売の予定はありますが…まだ秘密です! どんな食べ物を解体したいか? などリクエストがあれば、ぜひ教えてください」と、呼びかけました。