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『人生ゲーム』シリーズ71作には“失敗したケース”も 担当者が語る“2008年作品”

2022年10月26日 21:20
『人生ゲーム』シリーズ71作には“失敗したケース”も 担当者が語る“2008年作品”
『人生ゲーム』の“ドル紙幣”(現在は、500ドル札は廃止)
2023年に発売55周年を迎える『人生ゲーム』は、現在までに71作を発売し、累計販売数1500万個以上にのぼる人気のボードゲームです。しかし、そんな国民的ゲームも“失敗したケース”があったと担当者が明かしました。

■“スタンダード版”と“テーマ版”

『人生ゲーム』には、実は2つのカテゴリーが存在します。一つは、〇代目『人生ゲーム』という“スタンダード版”、2つ目は、サブタイトルが付いた“テーマ版”です。テーマ版について、タカラトミー・エデュテイメント課・課長補佐で『人生ゲーム」の担当者、池澤圭さんは「名前の通り何かのテーマに、フォーカスした人生を描いたもので、より短期的なトレンドなどを取り入れていることも多いのが特徴です」とコメントしました。

“テーマ版”のひとつ、2005年に登場した『人生ゲーム M&A』。M&Aとは Mergers(合併)& Acquisitions(買収)のこと。発売当時、国内企業のM&Aの取引が社会的に話題になったことを背景に企画したそうです。

『人生ゲーム M&A』は“円紙幣”を採用、その額も“億”や“兆”など桁違い。ゲームでは1000億円単位での借り入れができますが、手持ちの“企業カード”の状態や枚数によって限度額が異なるリアルな設定になっています。

『M&A』のイベントには、“ものを言う株主に増配を求められ1000億払う”や、“資本のねじれ。敵対的M&Aに備える”など専門的な用語が多いのが特徴。対象年齢は15才以上で、ゲームを通じて株や投資、企業価値などの意味、経済に興味を持ってもらえるように企画されたそうです。

また2019年には、シリーズ史上初となるスポーツをテーマにした『人生ゲーム スポーツ』が登場。プレーヤーはスタート直後に“スピード”や“スタミナ”など自分の才能がランダムで決まり、その才能に応じた様々な競技をマスターして、ナンバー1アスリートを目指します。

ルーレットは競技場を模したデザインで、プレーヤーを乗せるコマは、シューズ型になっています。

ロングセラーの『人生ゲーム』も、決して順風満帆ではなかったと担当の池澤さんが明かしました。「進化を追求しすぎたあまり失敗したケースが過去にはありました。例えば、2008年に実際に発売された『人生ゲーム ICルーレット』は、ルーレットを電子化・紙幣もICカード化したというかなり大幅な進化をさせたゲームでした」とコメント。

お金の管理や結婚、宝くじなど必要な情報はすべてICカードに一本化。これまでの、おもちゃの紙幣のやりとりは無くしたのです。しかし、池澤さんは「残念ながら販売はあまりふるわないまま終了しました。あまりの変化に、お客様がついてこられなかったことが原因と考えられ、ロングセラーブランドとして守っていくべき“軸”があることを、改めてチームとして痛感させられる作品でした」と苦い経験を明かしました。

15日に発売されたシリーズ71作目の『人生ゲーム ゴールデンドリーム』は、“金”がテーマ。ゴージャス感を演出するため100万ドル札や、ルーレット、ピン(人)などが金色になっています。

新作について担当者は「よりハッピーな人生を楽しんでほしいという思いと、不変の輝きを持つ“金”が昨今注目されていることなどから『金の島でお宝を集めて億万長者を目指す』というコンセプトになりました」と、企画意図を明かしました。

『人生ゲーム』は、今後どうなっていくのか、担当者の池澤さんは、「人生ゲームはこれまでに数えきれないほどの企画が出ており、製品化できたのは本当に一握りです。例えば、私が提案した『お魚の人生ゲーム』という案は、最近ボツになってしまいました。幅広い方に共感していただけて、なおかつ誰にでも分かりやすい遊び、という内容が求められているからです。『人生ゲーム』は“時代を写す鏡”。55周年を迎える2023年は新たな作品を企画しています」と語りました。