誕生50年のモンチッチ 愛される理由は“ファンが作り出すモンチッチの世界”
1974年に誕生したモンチッチは、体はぬいぐるみ、顔と手足は人形のつくりをしたお猿さんのような見た目のキャラクターです。なぜこのようなデザインになったのか、株式会社セキグチの吉野社長は「元々人形を手がける会社だったから。人形を作っていた会社がぬいぐるみを作り始めるにあたって、あまり顔がうまくできなかったんですね。なので人形の技術を生かそうということで、顔がプラスチック(ソフトビニール)で体がぬいぐるみという商品を開発しました」と理由を明かしました。
モンチッチは、発売開始当時、全く新しい人形と言われて大ブームを起こし、翌年からは海外にも輸出されました。ドイツ語圏を中心に広がり、フランスでも「KiKi(キキ)」と呼ばれて人気になったそうです。
■販売休止中 再販を望む声が多かったのはヨーロッパ
その後、レコードデビューやテレビアニメ化など様々な展開をみせたモンチッチですが、1985年から11年間はフランスを除いて販売を休止していました。それでも多くのファンの要望から、1996年に日本・ドイツ・ニューヨークで販売を再開。実はこの復活を望む声は、アジアではなくヨーロッパから多く寄せられたといいます。
吉野社長は、「一番大きかったきっかけはドイツ。1970年代~1980年代に、ヨーロッパでものすごくモンチッチを売っていたんですけど、当時のドイツのお客さんから、もう一度モンチッチやってくれないかという要望をものすごく熱心にいただいた。それがきっかけとなって。もちろん国内の皆さんからもリクエストの声をいただいたので再開しました」と、再販の裏話を語りました。
■「ファンの方が自分の世界をモンチッチと一緒に作ってくれている」 モンチッチが愛される理由
時代に合わせて変化をしながら、発売から現在までに世界30以上の国と地域で約7000万体が販売(メーカー発表)されているモンチッチ、その魅力を吉野社長は「それぞれのファンの方が自分の世界をモンチッチと一緒に作ってくれているっていうのが長く続いている理由なんじゃないかって思います」と語ります。
「モンチッチって、元々マンガ・アニメみたいに物語があったわけじゃなくて、商品から出発しているので、モンチッチのファンの方って、自分の持っているモンチッチに名前をつけたりしてくれているんですよ。なので、モンチッチそのものが自分の感情を移入する対象になっていて、他のキャラクターとはちょっと違う立ち位置のような気がするんですね」と明かしました。
そして、誕生から50年を迎えるモンチッチがどんな存在になっていってほしいかについては、「ファンの人とずっと、どこかから与えられた世界観ということではなくて、モンチッチと一緒に自分の世界を作っていってもらえるような存在であり続けられれば」と語りました。