SHELLY「この人逃しちゃいけない」と感じたパートナーの言葉とは?離婚/事実婚/同性パートナー…多様な家族の在り方を語る
2020年12月にはじめた自身のYouTubeチャンネル『SHELLYのお風呂場』にて、性教育を発信しているSHELLYさん。コロナ禍で発信できる機会が減り、かねてより持っていた性教育への情熱をYouTubeに向けたのだそうです。パートナーと出会ったのも、そんなフラストレーションが溜まっていた時期だといいます。
◾️離婚と事実婚 多様な家族のかたちを子どもにどう説明する?
SHELLYさんは事実婚のパートナーがいらっしゃって、その人物は我々の仲間なんですよね。
SHELLYさん:日本テレビのカメラマンと。
白川:家族生活の中で心がけていることはありますか?
SHELLY:そもそも事実婚の理由としては、一度結婚を経験して、“結婚”というものに対して「あれ?」と思うことがいっぱいあり、いわゆる同性婚、戸籍上の性別が同じ人同士が結婚できないというルールのもと、何十年も愛し合って家族として過ごしている人たちがいるのに、私が2回目の結婚をするのはなんか“変”だなと。
白川:私はゲイ当事者ですが、それはそれで「結婚おめでとう」と思いますけどね。
SHELLY:同性婚が認められるまではちょっと嫌だなっていうのもあって決めたんですけど、そういう大人同士のいろんな会話を、子どもにもちゃんと説明をするようにはしています。
離婚をした当時は子どもがまだ1歳と3歳だったので、離婚すること、別居すること、「お父さんと一緒に住まなくなる。でも、お父さんはあなたを愛してる」みたいなことを絵本を通して教えました。
白川:絵本を通して?
SHELLY:残念ながら日本語の絵本は数少ないんですけど、英語で調べると本当にたくさんあるんですよ。お母さんが2人いる、お父さんが2人いる、おじいちゃんおばあちゃんに育てられてるとか、いろんなかたちの家族が普通に出てくる絵本がたくさんあって、そういうのを読み聞かせるようにしていました。「うちも変じゃないし、うちじゃない家族もみんな変じゃないし、愛し合ってお互いのことを大事にし合ったらもう家族だよね」みたいなのはけっこう早くから“刷り込む”ように教育しています。
パートナーも私と付き合ってしばらくして、子どもに会うってなったときに、「どう接したらいいか?」というのがすごくあったので、私も「離婚後の恋愛」や「新しいパートナーを子どもに紹介するときの注意点」とかめちゃめちゃ調べて、ケアしつつ進めていきました。コミュニケーションをたくさんとりましたね。
◾️不便を感じる?“典型的”な法律婚と違う家族の在り方で
白川:法律婚との違いで不便なことはありますか?
SHELLY:手続きとかめんどくさいですね。結婚している人だったら必要ない手続きも事実婚ということで必要だったりとか。銀行のローンを一緒に組めないとか。
※金融機関により異なります
白川:私自身も男性のパートナーと暮らしていてそうなんですが、お互いに健康で日常生活を送っている分には、実はそんなに不便さを毎日感じているわけではなくて。でも、例えばどちらかが病院にかかるとか、2人で不動産を買うことを検討するというときになると、急に「赤の他人」というところがバーンと立ちはだかってくるというのはありますよね。
SHELLY:近所の人とかに挨拶するときって、何て言うんですか?
白川:うちの場合、元々僕が1人で住み、ご挨拶をしたんで、近所の方には「単身の男性が引っ越してきた」と思われているんですよね。その後、僕のパートナーがやってきて、今2人で住んでいるので、裏のおじいちゃんとかは見分けがついていない恐れがあって…。
SHELLY:あっそもそも!?
白川:「あの人あんな髪型だったかな…?」ぐらいに思われている。私の近所の皆さんがもし見てたら、今まで言ってなくてすみません。
SHELLY:わざわざ私も別に言わないですよ、近所に。「私たちは2人ともストレートで、お互いのこと愛し合ってて…」って発表しないでも一緒に住んでるじゃないですか。
白川:ジェンダー平等やダイバーシティなどについて、パートナーさんとも話しますか?
SHELLY:めちゃめちゃしますし、めちゃめちゃ洗脳されてます彼は。(笑)
付き合って間もない頃、ガラスの天井の話をしているときに、「カメラマンだってそうじゃん」って。この2、3年で急激に増えましたけど、やっぱり女性が圧倒的に少ない。「若いカメアシさんみたいな人はいるけど、トップになる人って少ない」「産後復帰する人いないでしょう?」みたいな話をしたんですよ。
そうしたら彼が、「やっぱ子育てとかしてて楽しいし、デスクワークの方がやりたいからそうなるんじゃないの? 」って言ってたんですよ。「そんなわけねーじゃん!」って。「カメラマンとしてキャリア積んだ人が子ども産まれて急に『私やっぱりデスクワークする!』って、なるわけないじゃん!」みたいな感じで…まぁまぁそんな喧々言わないですけど。
白川:早い段階で真正面から意見をぶつけ合う関係になれたっていうことですね。
SHELLY:私もやっぱ好かれたいから、かわいい感じで言いましたけど。でも、「そんなはずない」っていう、私の決めつけをある意味言ったんですよ。
白川:最初の時期だから、「この人こういう一面もあるんだ」みたいなところも?
SHELLY:ただただ私はもう「分かってないな」と思ったんですよ。「やっぱり男の人っていいな」「自分のキャリアをまっすぐ続けてればいいだけだから、女性たちが抱えている色んな悩みとかに気付かずに、この歳になれちゃうんだね」みたいな。
その3日後くらいにまた会って2人きりでしゃべってるときに、「そういえばこのあいだSHELLYが言ってた女性カメラマンの話…」って向こうから言ってきたんです。「あの後自分も考えたんだけど、デスクワークに自ら行っているわけないから、働き方が良くないんじゃないかと思ってきて…」みたいに。
白川:おお!
SHELLY:その時に「なんてできた人間なんだ!」と思って。
白川:素晴らしい!
SHELLY:でしょ?これはこの人逃しちゃいけないなと。
白川:今のSHELLYさんの発信の在り方は、パートナーとの関係などから影響を受けた部分はあるんですか?
SHELLY:ありますお互いに。彼がすごくいい中和剤になってくれるというか。例えば女性側も「本当はカメラやりたいんだけどさ、しょうがないからデスク行ってくるわ」って言わないじゃないですかわざわざ。そういうのって気づかないうちにお互いに隠し合ってるから。
白川:「そういうもんでしょ」「みんなそうしてきたじゃん」みたいなのがありますよね。いわゆる標準的な法律婚をしているカップルじゃないからこそ、しっかり話し合うことの土壌になっているかもしれないですね。
SHELLY:法律婚をしないっていう判断をしたときに2人で話したのは、「結婚してるから毎日一緒にいる」じゃなくて、「一緒にいたいからいる」っていうことをお互い確かめ合うためにも、事実婚はいいよねと。
お互いに選んで、「私たちはここが一番幸せだからここにいる」っていうことを、日々選択し続ける、そういう自覚を持つためにもいいなって私は思ってます。
◾️2月11日放送『Colorfulライフラリー』の見どころは?
白川:SHELLYさんにMCを務めていただく、様々な人たちの人生をイッキ見してその現在を追跡する『Colorfulライフラリー』の2回目の放送が本日収録ですが、見どころになりそうな部分はどこですか?
SHELLY:前回も参加していただきました、なすなかにしの中西さんも来てくれるのですが、今回は那須さんもきてくれます。
白川:前回那須さんは病気で来られなかったのですが、今回は回復されたということで。
SHELLY:あの頃のいろいろ大変だった経験や、今どういう状況なのかというのをいっぱい見られるときいているので、すごく楽しみです。
白川:病気も怪我も、働き方や暮らし方が結構変わると思います。それも多様性、マイノリティーの1つの課題になりますよね。今回はそういったお話や、他にも日本テレビがかつて取材した様々な人を追跡するという番組なので、面白いものがたくさんお送りできるかと思います。
『Colorfulライフラリー』は2月11日午後3時50分から放送です。
日テレ報道局ジェンダー班のメンバーが、ジェンダーに関するニュースを起点に記者やゲストとあれこれ話すPodcastプログラム。MCは、報道一筋35年以上、子育てや健康を専門とする庭野めぐみ解説委員と、カルチャーニュースやnews zeroを担当し、ゲイを公表して働く白川大介プロデューサー。 “話す”はインクルーシブな未来のきっかけ。あなたも輪に入りませんか?
番組ハッシュタグ:#talkgender