尾上松也「憧れのお役です」初の大役に挑戦
歌舞伎俳優の尾上松也さんが、初めて「勧進帳」で富樫を勤める『四月大歌舞伎』公演が、現在、東京・歌舞伎座で上演されています。
今月、第一部で上演されている「勧進帳」は歌舞伎十八番の中でも屈指の人気作。今回は日替わりで上演されていて、A日程では松本白鸚さんが弁慶を、松本幸四郎さんが富樫を勤め。B日程では幸四郎さんは弁慶を、松也さんが富樫を勤めています。
初役に挑んでいる松也さんは「子供のころから、いつか勤めたいと思っていた憧れのお役です。不思議なことに“勧進帳”にはこれまでほとんどご縁がなく、平成25年1月の浅草公会堂で四天王の“亀井六郎”を勤めさせていただいたくらいです。歌舞伎を代表するこの作品の中で富樫が担う役割は極めて大きく、今回(尾上)菊五郎のお兄さんに教わって、しっかりと勤めます」と公演前に意気込みを語っていました。
勧進帳は、東大寺再建のための山伏と名のる弁慶と、寺建立の寄付を募る帳面「勧進帳」を読むように迫る富樫のやりとりは、一触即発の緊迫感にあふれ、息もつかせぬ展開をみせる芝居で荒事の魅力を存分に味わえる名作です。
初の富樫について「関守としての仕事、役目としては完全なルール違反です。しかし、敵ながら主人を思う忠臣弁慶の素晴らしさに感じ入り、人間として男として相手を認める。そこに富樫の潔さ、格好良さを感じます。自分の思いを表に出さず、また直接的な言葉を交わさないままに分かり合う。あの時代ならではの男気というか、私の大好きな世界です」と話していました。
また歌舞伎座では、「まん延防止等重点措置」により第三部『桜姫東文章 上の巻』が4月17日(土)から千穐楽の28日(水)まで、開演時間を15分繰り上げ午後5時45分開演し、午後8時までに終演することも発表されています。