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夏木マリだから語れる湯婆婆の人物像 「坊は本当に生んだのか」 “千と千尋” 舞台化で再考察 河出アナが迫る

2022年3月10日 22:03
夏木マリだから語れる湯婆婆の人物像 「坊は本当に生んだのか」 “千と千尋” 舞台化で再考察 河出アナが迫る
湯婆婆を演じる俳優の夏木マリさんに、日本テレビ河出奈都美アナウンサーがインタビュー

帝国劇場で上演中の舞台『千と千尋の神隠し』で、人気キャラクターの湯婆婆を演じる俳優の夏木マリさんにインタビュー。

舞台に出演する俳優陣の中で唯一、映画でも同役の声優を務めたキャストです。その夏木さんだからこそ語れる『千と千尋の神隠し』の魅力や、夏木さんが考える湯婆婆の“人物像”を、『千と千尋の神隠し』を愛してやまない日本テレビ河出奈都美アナウンサーが伺いました。

2001年に公開されたスタジオジブリ宮﨑駿監督の名作『千と千尋の神隠し』を舞台化した今回の作品。神様が集う町にある『油屋』というお湯屋に迷い込んだ主人公・千尋が、元の世界に戻るため、経営者の魔女・湯婆婆と契約を結び、そこで働きながら成長する様子を描いた冒険ファンタジーです。舞台には、主人公の千尋役に橋本環奈さんと上白石萌音さん(Wキャスト)、湯婆婆とその姉・銭婆役に夏木マリさんと朴璐美さん(Wキャスト)など、豪華俳優陣が出演します。

■舞台版の『千と千尋の神隠し』 演じるという意味では“新作”

河出:今回舞台で、湯婆婆・銭婆のオファーが来た時の気持ちはいかがでしたか?
夏木:そうね。湯婆婆・銭婆というよりも、『千と千尋の神隠し』が舞台になるんだということが、すごい驚いたし、うれしかったですね。
河出:およそ20年の時を経て、舞台に向けて役作りをされる中で、映画との変化というのはご自身にありましたか?
夏木:やっぱり生身の体が動くと同じセリフでも言い方が違ったりとかね。あとシチュエーションが違うから、ちょっと違う言い方になったりとか、声の強弱も違うし、ほとんど新作と一緒でした。
河出:新作!そうなんですね。
夏木:はい、私にとっては演じるということについては新作と一緒でした。
河出:舞台の仕掛けも素晴らしいですが、夏木さんが舞台装置などで驚いた部分はありますか?
夏木:一つとして2度、同じ場面がないんですよね。全部舞台が回るから、全部新しいシーン。あれだけの場面の数があっても。だからそういう意味で、見てくださるお客様としては面白いんじゃないかなと思います。

■“予習”して演じる湯婆婆役 「魔女でありながら非常に人間っぽい」

物語の舞台となっている『油屋』では、毎日訪れる大勢の神様をもてなすため、たくさんの従業員が掃除をしたり料理を提供したり、せわしなく働く様子が描かれています。そんな『油屋』を一つに束ねる経営者の湯婆婆は、仕事に厳しく、時に横暴で、従業員たちから恐れられています。一方で息子の『坊』に対しては、人が変わったように甘やかし、溺愛する顔も。そして湯婆婆の双子の姉・銭婆は、訪ねてきた千尋を優しく迎え入れ、穏やかな心優しい性格。しかし自分にとって都合の悪い相手には躊躇なく強力な魔法を使うため、恐れられる一面も。

夏木さんは舞台で再度このキャラクターを演じるにあたって、改めて“人物像”を考察したといいます。

河出:映画の時と変わらず、夏木さんの中で“湯婆婆はこういうキャラクター”というのはあるんでしょうか?
夏木:うん、やっぱりすごくハードワーカーなんですね。それで油屋を経営していて、すごくいい経営者なの。お金はちゃんと儲けなきゃいけないっていう人だから、だからみんなに厳しくしているってとこはあるんだけど。でも声をやらせていただいたときよりも、この人のバックグラウンドを考えて、すごく今回は予習の時間が楽しかったです。
河出:予習というのは具体的にどんなことをされたんですか?
夏木:例えば、どうして『油屋』を経営しているんだとか、坊は本当に生んだのか、それとも(湯婆婆は)魔女だから神様からのいただきものなのか、なんであんなにかわいがるのか、どんどんどんどん、いろんなことが面白くて。(演出の)ジョン・ケアードと、いろいろ相談したりもして、役を作ってきました。だからキツい稽古でしたけど、楽しい時間でしたね。
河出:では映画の時よりも、より湯婆婆への理解は深まっていますか?
夏木:はい、深まっていると思います。
河出:夏木さんにとって、湯婆婆とはどのような存在ですか?
夏木:湯婆婆ね…。銭婆と2人で一人前なのよね。それでやっぱり銭婆がちゃんと、契約書のハンコを持っているぐらい、しっかりしているし、実は怖いと思うんですよ。魔女として。湯婆婆は銭婆に非常にコンプレックスがあるかもしれないですね。一生懸命仕事しているんだけど、ちょっと激昂(げきこう)すると止められなくなっちゃうのね。そういうところもまたチャーミングだし。昔は人間だったのかなと思ったりね。自分の中で想像をいろいろ膨らましてます。従業員たちにとってはすごく厳しいけど、なんていうのかな、魔女でありながら非常に人間っぽいですよね。

■“千と千尋”は海外でも評価される日本発のもの 「日本の作品として誇れる」

映画『千と千尋の神隠し』は、2001年の公開からおよそ20年もの間、国内の歴代興行収入ランキングで1位を記録。さらに、第52回ベルリン国際映画祭で金熊賞、第75回アカデミー賞では、日本映画初の『長編アニメ映画賞』を受賞し、国内のみならず、世界中で評価されました。

河出:改めてこの『千と千尋の神隠し』という作品はどういう存在ですか?
夏木:作品自体は、やはり世界に出ている有名な作品で『Spirited Away(英題)』といって、誰もが知ってるこの作品が演劇になるということが、非常にすごいことだなと。やっぱり映画で成功したものは、あまりに映像が素晴らしいから、演劇で失敗したりしているんですよね(笑) でもジョンはあえて映像を使わず、身体言語で全部を表現する。ちょっと歌舞伎のような感じもあるし、能のような舞台も感じるし、日本の作品として誇れるっていうかな。いい作品がまたひとつ誕生したんじゃないかなと思いますね。日本発のものができたっていうことが日本人の俳優としてはうれしいです。
河出:舞台としての『千と千尋の神隠し』の魅力、見どころを一言で表すとしたら
夏木:映画と比べてこれだけ再現率が高いのはすごいことだと思いますね。そして私たち生身の人間が飛んだりできないけど、全部俳優の体で表現しているってことが、非常に表現度が素晴らしいんじゃないかなと。自分で出ていうのはあれですけれど。
河出:魔法がたくさん出てくるわけですからね。
夏木:そうです。それを私たち俳優がやっているわけだから、それはジョン・ケアードの演出が素晴らしいと思います。