川村文乃、マグロ解体でアイドルとして成長
アイドルグループ・アンジュルムのサブリーダーとして活動している川村文乃さん(22)。川村さんには、もう一つの顔があります。それは『マグロ解体師』。日本で9人しか取得していない『1級マグロ解体師』の資格を持っていて、女性では川村さんしかいません(12月2日時点)。今回“2つの顔”をもつ川村さんをインタビュー取材すると、“マグロ解体”と“アイドル”の意外な共通点を語ってくれました。
■1級マグロ解体師「高校生の時から頭の片隅にあった」
——なぜ『1級マグロ解体師』の資格を取ろうと思ったのですか?
小さい頃からマグロの解体ショーをよく見ていて、“かっこいいな、いつか自分もさばきたいな、解体ショーしたいな”って思っていたんですけど、こういった資格があるというのを知って、勉強して取りました。
——幼い頃から魚をさばくのが好きだったのですか?
地元・高知にいたときは魚が身近にある生活を送っていたので、小さい頃からいろいろな魚をさばいていました。小学生の時は、サバとかキンメダイとか、それぐらいの大きさだったんですけど、いつもさばいたら家族みんなで食べていました。
——資格があることを知ったのは、いつ頃ですか?
この資格があるって知ったのが、自分が高校生ぐらいの時だったので、その時から頭の片隅にあったんですよね。でも、なかなか“よし取るぞ”って気にはなれなくて。(去年に)コロナ禍で時間ができたので“この時間を何に使おうかな”って思った時に、“そうだ、マグロの勉強しよう!”と思ったので、このコロナ禍じゃなかったら自分はこの資格を取れてなかったんじゃないかなと思います。
マグロ解体師は、解体ショーのプロフェッショナルとしてマグロの性質を理解して素晴らしさを伝えることができる人のこと。資格は3段階あり、3級・2級認定者は、解体または口上のどちらかしか行えませんが、1級に認定されると1人で解体ショーを披露することができます。認定されるためには、解体技術だけでなく、マグロに関する知識の学習や『食品衛生責任者』の講習などを受ける必要があります。川村さんは133時間の講習を受けるコースで受験し、今年6月、1級に認定されました。
■アイドル活動と並行して勉強 口上はリモート指導
——勉強期間はどのくらいですか?
教科書やテキストを読んで覚えたりして、そこから実技。実際にマグロを使って解体の練習をして、解体ショーの練習をするっていうのもあったので…1年ぐらいでしたかね。(私は)短期集中型で、この日はマグロを勉強する日、この日は仕事の日っていうのをきちんと分けて、教科書やテキストは家で時間を見つけて勉強しました。
——苦労したことはありましたか?
実際にマグロを解体するのは苦労しましたね。今まで私はカツオとか、それぐらいの大きさの魚しかさばいたことがなかったので、大きい魚をきれいに解体するっていうのは苦戦しました。(魚によって)包丁を入れる感覚も違ったり、自宅では使わないような長さの包丁で解体していくのは大変でした。
——解体ショーの魅力のひとつ“威勢のいい口上”は、どのように練習しましたか?
解体師の師匠からすごく教わって。リモートなので画面を通してですけど、「もっと力強さは必要だ」とか「もっと荒々しく」とか、すごくたくさん指導いただいたので、口上は結構自信があります。
——その口上を披露していただくことは可能ですか?
はい!(特別に少しだけ披露していただきました)
——声量をすごく出すんですね。
そうですね。かなり大きな声で、漁師さんだったり魚市場で働いている方をイメージして、そういったふうにパフォーマンスしています。
■「やっていることは一緒」 “マグロ解体”と“アイドル”の共通点
——資格を取ってから、変化したものはありますか?
「歌声が力強くなったね」って褒めていただけることがすごく多くて、ファンの皆さんもそうですけど、メンバーにも褒めてもらいました。だからこんなところでも、解体ショーとアイドルは、つながっていたんだなって思っています。
——具体的にどんな点がつながっていますか?
解体ショーは、大きな声ではっきりすごく長い口上を話すので、力強さが必要。解体作業も結構、力がいるんですよね。アイドルは歌いながら踊るじゃないですか。解体ショーも口上を言いながら解体作業していくっていうので、やっていることは一緒なんですよね。
■夢は船上で「解体ショーコンサート」
——今後の目標はありますか?
アンジュルムの活動とコラボした解体ショーができたら楽しいんじゃないかなって考えています。船の上で私が釣ったマグロで解体ショーをしながら、アンジュルムのみんなもパフォーマンス、歌って踊ってもらうっていう解体ショーコンサート的なものができたらいいなって妄想しております。
——そうすると、あの泊まっている船よりも大きいものを借りるイメージですか?
そうですね。あれよりも大きいもので、船の一番上の部分で私が解体ショーをして、みんなが踊って。それを見える位置にお客さんがいるっていうのが、いつかできたら楽しそうだなと思っています。