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「男女らしさ」とらわれやすい人の共通点

2021年10月3日 13:05
「男女らしさ」とらわれやすい人の共通点

内閣府が初めて「男らしさ」や「女らしさ」の無意識な思い込みについて調査を行いました。「デートや食事のお金は男性が負担すべき?」「家庭や職場での役割は?」…偏ったイメージにとらわれている人はどんな属性に多いのか。データが示す実相とは。

■約8割の女性は「男性がおごるべき」と思っていない

「デートや食事のお金は男性が負担すべきだと思いますか?」

男性の37%が「そうだ」と思っているのに対し、女性では22%と、考えに差があるようです。9月30日、内閣府が「男らしさ」や「女らしさ」の思い込みについての調査結果を発表しました。

全国の20代~60代、合わせて1万330人が、「男らしさ」や「女らしさ」に関する36項目に回答。性別「その他」と回答した人をのぞき、男女別に結果をとりまとめました。すると、36項目のうち33項目で、男性の方が思い込みが強いことがわかったのです。

特に思い込みの男女差が大きかったのは、「デートや食事のお金は男性が負担すべきだ」「男性は人前で泣くべきではない」「家を継ぐのは男性であるべきだ」といった、「男性は◯◯べき」という項目でした。

このように、私たちが無意識に持つ思い込みは「アンコンシャス・バイアス」といわれ、生き方や働き方に影響を与えるとされています。

■「アンコンシャス・バイアス」に注意するべき属性は?

「アンコンシャス・バイアス」にとらわれやすい人には、共通点がみられます。

例えば、「男性は結婚して家庭を持って一人前だ」「家事・育児は女性がするべきだ」といった、家庭での役割に関する思い込みについては…。「家事・育児は女性がするべき」と思っている人は、20代では男性24%、女性17%ですが、年代があがるにつれて徐々に増え、60代男性では倍近い38%、60代女性は26%となりました。

一方で、他者のこうした思い込みを「言葉や態度から感じたことがある」と答えた人の割合も60代が最も高く、男性では60代は20代より19ポイント高い34%、60代女性も20代より16ポイント高い40%でした。

また、職場での役割に関する思い込みでは、「女性の上司には抵抗がある」と答えた人の割合を、一般社員クラス、課長・係長クラス、役員・部長クラスの3つの属性で比較すると、立場が上になるほど思い込みが強くなることがうかがえました。

■まずは「アンコンシャス・バイアス」を意識すること

こうした結果を専門家はどうみるのか、一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所の守屋智敬代表理事に、調査結果について話をききました。

今回の調査で「男らしさ」や「女らしさ」の思い込みを持つ人が多かったのは「男性」「高齢者」「役員・部長クラス」でした。守屋代表理事は、これらの性別、年代、役職の人たちが、「性別役割意識を良しとする社会通念に影響を受けている可能性がある」とみています。

今回初の調査をした内閣府は、「アンコンシャス・バイアス」にとらわれず、誰もが多様な生き方や働き方を選べる社会を目指すとしています。しかし、その道のりは長そうです。

守屋代表理事が注目したのは、「アンコンシャス・バイアス」という言葉の認知度が、22%と非常に低いこと。「アンコンシャス・バイアス」は日常にあふれていて、誰にでもあるもの。だからこそ、一人ひとりが「アンコンシャス・バイアス」を意識することが、多様性を尊重しあう社会へと近づく第一歩となります。

※本文中の数値は小数第一位を四捨五入しました。