YOASOBI “1回バカになる”大切さ
音楽ユニット・YOASOBIが、初めての有観客ライブを日本武道館で開催しました。そのライブから2日後、初めて観客の前に立った時に見せた涙の意味や、曲作りへの強いこだわりなどを伺いました。
ボーカルのikuraさん(21)とコンポーザーのAyaseさん(27)の2人組音楽ユニットのYOASOBI。2019年10月の結成以降、配信ライブは開催したことはありましたが、有観客でのライブは今回が初めて。12月4日と5日の2日間で約1万4000人を動員しました。
■ライブで見せた涙…ファンに“初対面”した時にこみ上げた思い
——有観客ライブを終えて少し時間がたちましたが、改めて今の心境は?
Ayase
終わった直後は“あっという間だったな”というのと“本当に楽しかった”っていう気持ちとで。やっぱりとんでもない非日常だったと思うので、あの武道館の景色っていうのは。終わって家に帰ってスーパーに行ったんですけど、すごいことをやったあとに、すごい日常に戻ってると思って(笑)。すごくフワフワしてましたね。
ikura
これまで活動を2年間してきて、生で音楽を届けるってことが初めてだったので、みんなで一体になって武道館で音を鳴らしてるって実感した瞬間に思わず涙がブワーっとあふれちゃったんです。みんなが(拍手で)うわーってやってくださってるのが全部見えてたので、(新型コロナの影響で)何ができなくて…っていうことは全く思わずに、本当にみんなありがとうって気持ちしかなかったです。
■曲作りで大切にする“自分”の感覚 「打算的ではいい曲はできない」
デビュー曲『夜を駆ける』で数々の年間チャート1位を獲得したYOASOBI。次々にヒットを飛ばし、テレビ番組のテーマ曲やCMソングに数多く起用されています。曲を作るのはコンポーザーのAyaseさん。ikuraさんは『幾田りら』名義でシンガー・ソングライターとしても活動していますが、YOASOBIではボーカルに徹しています。
——モノづくりをする上で絶対にゆずれない指針はありますか?
Ayase
曲を作る時においては、とにかく“自分が面白いと思えてるか”っていうところ。「ヒット曲を前回出すことができました。じゃあ次の曲どうしましょう」ってなったら、やっぱり次もヒットを作らなきゃいけないと思ったりもするし、「今こういう音楽がはやってるっぽいけど、どうなんだろう」と、ちょっと打算的な考えはどうしても出てくるんですけど、そこ発進で曲を作ろうとしてる時って大抵いい曲できないんですよね。本当に自信を持って「僕の最高傑作です」って毎作絶対言えないといけないと思ってるし、それが自分の作品をステキだと言ってくれる人への責任だと思ってるので。本当に無邪気にやってますし、こだわってます。
ikura
自分は曲を書く顔と、歌に専念する顔があるので、ボーカルのikuraとして常に思っていることは“自分の歌声は自分のものである”っていうこと。それは(YOASOBIでは)自分の書く曲ではないので受動的になりがちなんですけど、でもちゃんと“自分が”物語を拾い上げた上で、“自分が”いつもその歌声にいつも感動していたいなっていう気持ちはあります。
■若者に伝えたい “1秒の勇気”と“1回バカになる”ことの大切さ
——夢や目標があるけど、行動にうつせない若者たちが一歩進むためのアドバイスは?
ikura
SNSが普及して、簡単には一歩踏み出せなかった時よりも、ちょっとの勇気で世に自分から発信していける時代になったので、私も自分の弾き語りの動画をネットにあげたり、いろんなきっかけでこのYOASOBIにもつながりましたし、一歩踏み出す勇気があれば、そこから広がることもあるし、そこで手掛かりを自分で感じられたら、もっと強く2歩3歩って踏み出していけると思うので、その“1秒の勇気”を頑張って振りしぼってもらえたらなと思います。
Ayase
先が見えなくて不安で一歩踏み出しづらいっていうのはもちろんあると思うんですけど、やっぱり“1回バカになる”っていうのは大事かなと思ってて。人間どうしてもそこまでコトが進んでないのに嫌な心配だけしちゃって、頭の中で失敗を完成させちゃうことが多いと思う。現状自分が何をやりたいのかとか、将来こういう自分になれてたらかっこいいなと思えるものがふわっとでもあるんだとしたら、バカにがむしゃらに頑張ってほしいと思いますね。僕もそうやって音楽の道に飛び込んだので。