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温かいつながり感じるアナログゲーム “自己啓発本作り”に“箸スポーツ” ゲーム好き・河出奈都美アナが取材

2024年12月2日 22:40
温かいつながり感じるアナログゲーム “自己啓発本作り”に“箸スポーツ” ゲーム好き・河出奈都美アナが取材
ゲーム好きアナウンサー・河出奈都美が体験取材
年末年始の家族や親戚が集まる時期に、遊ぶことが多くなるアナログゲーム。11月16日(土)と17日(日)の2日間、千葉・幕張メッセにて『ゲームマーケット2024秋』が開催されました。

今回は、子どもの頃からモノポリーなどのボードゲームやカードゲームに親しんできたゲーム好きの私、日本テレビアナウンサー・河出奈都美が、来年話題になるかもしれないオリジナル創作ゲームや、アナログゲームの魅力を取材しました。

『ゲームマーケット』は、2000年から開催され、今年で24年を迎えた日本最大規模の“電源を使用しない”アナログゲームのイベント。今回は、2日間で約2万6000人(主催者発表)が来場しました。

1200以上の企業や個人が出展し、ボードゲームやカードゲーム、テーブルトークRPG、シミュレーションゲームといったさまざまなジャンルのゲームが展示・販売されています。その8割を個人での出展が占めていて、オリジナル創作ゲームが豊富にそろっているのが特徴。ブースがずらっと並ぶ光景は圧巻でした。

気になるゲームを無料体験できるほか、その場で購入することも可能です。さらに、新作ゲームの展示コーナーやキッズエリアなど、特設ブースも盛りだくさん。来場者層は20代から40代が多く、年々、女性や家族連れの方も増えているということですが、実際に親子で遊びに来ているお客さんも多く見られました。初めての『ゲームマーケット』に、私もワクワクが止まりません!

■昼過ぎには完売 “自己啓発本ゲーム”体験してみた

会場内を歩いていると、どのゲームも面白そうで、ついつい目移りする私。しかし、限られた取材時間で体験するゲームを決めなくてはいけません…。そんななか、看板を見て思わず飛びついてしまったゲームがありました。それがこちら。タイトルは、『すごい!自己啓発本を作るゲーム』。出展者は、ドイツゲーム喫茶B-CAFEです。

このゲームでは、プレーヤーが自己啓発本の制作者となり、カードを表紙シートに配置することで魅力ある自己啓発本を作ります。あらかじめ決めたターゲット層に一番響く本の表紙を作ることができた人が勝ち。ワードセンスが問われるゲームです。

今回の条件は、「成功したい人」をターゲットに、「IT社長」というワードを必ず使って、5分以内に完成させます。果たして、“ベストセラー”は生まれるのでしょうか!?

悩みながらカードを並べかえ…5分後、完成したタイトルがこちらです!

「天才IT社長が言った 人生を変える超ポジティブマネジメント術」。

自分でも笑ってしまうくらい、訳の分からない本を作ってしまいました。帯の「365日幸せになりましょう」もウソっぽいですし、これは絶対売れない…。いつかまたリベンジしたいです。

今回は、来年の発売を前にした先行販売で、イベント前からすでにSNSで話題になっていたということで、昼過ぎには完売していました。夢中で遊べるのはもちろん、キャッチコピーなどの勉強にもなりそうなゲームでした。

■イラストにもこだわり 『ナベブギョー』で大盛り上がり

続いて紹介するタイトルは、『ナベブギョー』。実はこのゲーム、会場に行く前からホームページで見て気になっていたものでした。箸を持った女の子のイラストにひかれたのがきっかけで興味を持ち、早速ブースへ。

このゲームのコンセプトは、『ナベブギョー』という架空の競技に出場し、より多くのお客さんにおいしい鍋料理を提供することを目指す、というもの。ルールは、好きなカードを1枚選び、カードに書かれているマークと同じ具材を、同じ数だけ、箸を使って皿に取って集めます。具材を集めきったら、そのカードに書かれているポイントを獲得でき、1分間で一番ポイントが高かったプレーヤーの勝利です。試遊スペースで、出展者の皆さんと一緒に体験させていただきました。

シンプルがゆえに、いざ試合が始まると大盛り上がり! 箱に入っているチップは鍋の具材なので、あわてて皿からこぼしてしまったら、最初からやり直しです。また、ちょうど自分が狙っていたカードの具材を集めていたら他の人に先を越された、なんてことも。箸使いと判断力が試される、新感覚なゲームでした。

製作しているのは、学生時代からの友人で活動している社会人サークル・uoon。キャラクターデザインは、イラストが趣味のメンバー・櫻井修磨さんが担当しているそうで、『ナベブギョー』を題材にした漫画や設定資料集もある、こだわりっぷりです。プロの漫画家ではないと聞いて驚きました。ほかのメンバーは、ゲームデザインや宣伝担当など、それぞれの得意分野でクリエーティビティーを発揮しているということです。

「誰でも遊べるハードルの低いゲームでありつつ、ストーリー設定を考えるのが好きなので、そういったところでも面白さを感じられるゲームを作りたかった」と話す櫻井さん。「リアルな人とのつながりや、盛り上がりの中心に自分たちの作ったゲームがあるというのは、素直にうれしい」と、創作の魅力についても語ってくれました。

そのほかにも『マーダーミステリー』という、参加者が物語の登場人物になりきって事件を解決する推理ゲームのジャンルコーナーや、テーブルを囲んで会話をすることで物語を展開していく『TRPG』など、初めて出会うジャンルのゲームに興味津々でした。世界観が緻密に作りこまれており、個人で製作したものとは思えないほどのクオリティーの高さです。

■人気高まる“アナログゲーム” その魅力とは

デジタル技術の発展とともにオンライン化が進んでいますが、主催者によるとアナログゲームの人気が高まっているといいます。主催する株式会社アークライト ボードゲーム事業部 鈴木健右さんにお話を伺いました。

――来場者層の広がりの背景には何があるのでしょうか?

コロナで“巣ごもり需要”でメディアに取り上げられる機会が多くなってきて、新しく始める方が増えています。また、(子どもの頃に)家族で遊んで、大きくなって自分で買い始めるサイクルができ始めていて、どんどんユーザーが増えてきているという印象です。

――ゲームマーケットならではの体験・他との違いはありますか?

他では買えない、ここだけのゲームが大量にあるというところと、作者と直接お話をしながら購入できるというところがユニークな点かなと思います。

“即売会”というよりは、ボードゲームを遊ぶ、好きな方がいらっしゃるイベントではあるので、必ず会場で遊べる状態を作りたいなと思っています。

――アナログゲームの魅力について、どのように考えていますか?

デジタルが発達していく中で、コミュニケーションは取りやすくなってきています。一方で、“対面のコミュニケーション”はもっと重要視されてきていると思っています。家族・親しい友人とより親密に、新しい関係を作る時にはそのアシストになるような部分が、ボードゲーム(アナログゲーム)にはあると思います。

■取材を終えて

ゲームマーケット取材を通して、私はすっかりアナログゲームのとりこになってしまいました。

思い返せば、小学生の頃絵を描くのが好きで、よくオリジナルキャラクターを描いていました。それを見た父が、私たちきょうだいが描いた絵を使ってカードゲームを作ってくれたのです。それがとてもうれしく、毎日のように遊んでいたのをよく覚えています。

発想次第で、どんな題材を使ってもゲームを作ることができる。そのゲームをきっかけにコミュニケーションが生まれる。創作の楽しさや、人との温かいつながりの大切さを、今回の取材を通して感じることができました。


(取材・文 河出奈都美)

最終更新日:2024年12月2日 22:40