【特集】外国人の目にはどう映る?「男鹿のナマハゲ」体験ツアーに密着 国際的な広がりも
大みそかの伝統行事、ユネスコの無形文化遺産に登録されている「男鹿のナマハゲ」の特集です。
このナマハゲを体験するツアーが5年ぶりに行われました。
外国人観光客が参加したほか、留学生が研究の題材にするなど、国際的な広がりも見せています。
ナマハゲに魅せられた2人の観光客と、1人の留学生に密着しました。
本場の「ナマハゲ」を目当てに、秋田を訪れたイタリア在住の2人。
グイド プステルラさんとステファノ ピロッタさんです。
男鹿の文化や風習をPRする「男鹿DMO」が企画した体験ツアーに参加しました。
会社員の2人。
日本に来るのは初めてです。
なぜ、いきなり秋田の「ナマハゲツアー」に参加したのでしょうか?
ヨーロッパにはナマハゲと同じような風習があります。
不気味で恐ろしい見た目、半分ヤギ、半分悪魔の「クランプス」という怪物です。
12月になるとサンタクロースと一緒に街を練り歩くクランプス。
サンタはプレゼントを配り、クランプスは悪い子をさらって「親の言う事を聞いているか?」などと戒め、脅し、諭しながら家々を回ります。
見た目は怖いものの、ナマハゲと同じように心優しい教育的な存在です。
クランプスに慣れ親しんだ2人は、SNSで見つけて、ナマハゲのツアーに参加しました。
400年以上の歴史があるというクランプスが、ナマハゲの源流ではないかと考えている民俗学者もいます。
鵜木集落のナマハゲは、イタリアのクランプスとは見た目も、しきたりも違います。
まず2人は、ナマハゲの風習を見て学びました。
地域の住民と触れあえるのが大きな魅力です。
そして、「体験ツアー」本番。
ナマハゲになります。
振るまい酒もきちんと頂きました。
ステファノ ピロッタさん
「いろいろな家族と交流するできるのがとても好きで、本当に楽しめみました」
ディレクター
「また来年来たいと思いますか?」
「絶対に来たいです!」
通訳
「また来たいですか?」
グイド プステルラさん
「もちろんだよ。当たり前じゃないか!また来て体験したいよ。ここでは集落のナマハゲチームがそれぞれ集まって、ひとつのことを成し遂げている素晴らしさも学んだよ」
5年ぶりに開かれたナマハゲ体験ツアーには、7人が参加しました。
北海道大学大学院で観光について学ぶ、中国出身の程慧慧さんも参加者の1人です。
程慧慧さん
「秋田県は、私は日本の民俗文化について研究したいんですので、その中で、観光客はどうやってナマハゲ行事に楽しめるかというところについて研究したいです」
慣習で、女性はナマハゲになることはできません。
その代わり程さんは…
「ナマハゲ入ってもいいですか?って」
ナマハゲを家に入れても良いか確認する「先立」を体験しました。
「すいませーん。ナマハゲ入ってもいいですか?」
「はーい、どうぞ~」
「はい、あ、OK」
ナマハゲ
「ウォォォォォ」
子ども
「ギャアアアアア」
子ども
「聞いてます 聞いてます、ちゃんと聞いてます」
ナマハゲ
「ちゃんと勉強せえよ」
子ども
「はい」
ナマハゲ
「でねばすぐ来るからな」
子ども
「ハイ」
「また来年も来るからな」
「ウォー!」
ディレクター
「程さんどうすか?」
程さん
「面白いです」
「先立」の役目を果たしたうえで体感したナマハゲは、格別だったようです。
この日は、ナマハゲを受け入れてくれた10軒ほどを回りました。
「じゃあナマハゲが入ってきたら、先に家族の人たちが出迎えて、それでお酒をやるので、そのあとにみなさんも同じような形でナマハゲにお酒やってもらえますか?」
「はい」
「お願いします」
程さん、今度は、ナマハゲを迎える側の体験です。
ナマハゲと住民の関係性を、身をもって学びました。
程慧慧さん
「楽しかったです。想像より怖くなかったです」
「ナマハゲと地元の家族の雰囲気がすごく良かったです、はい。友達みたい」
程さんは当初、観光のひとつとしてナマハゲに着目していたものの、体験したことで、長く続く地域の伝統の奥深さに気づくことが出来たといいます。
ディレクター
「研究というか卒論のテーマはどんな感じになりそうですか」
程慧慧さん
「ナマハゲとその受け入れ側のつながりについて、ちょっと興味がありますので、そこにも研究したいです」