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是枝裕和監督 坂本龍一さんとの生前のやりとり「“全部を引き受ける体力は残ってないけども…”って」

2023年5月9日 21:40
是枝裕和監督 坂本龍一さんとの生前のやりとり「“全部を引き受ける体力は残ってないけども…”って」
舞台挨拶に登場した是枝裕和監督
是枝裕和監督(60)が8日、映画『怪物』(6月2日全国ロードショー)の舞台挨拶に、主演の永山瑛太さん(40)や安藤サクラさん(37)らキャスト陣と登壇。是枝監督は、音楽を担当した坂本龍一さんとの裏話を明かしました。

冒頭のあいさつで「本当に素晴らしいスタッフとキャストと一緒に、とても面白い映画ができたと思っております」と話した是枝監督。本作は豪華キャスト陣のほか、脚本を映画『花束みたいな恋をした』などで知られる坂元裕二さん、音楽を3月に亡くなった坂本龍一さんが担当しました。

坂元裕二さんとのタッグについて是枝監督は「僕からずっとラブコールを送っていたので。プロデューサーの川村元気さんから連絡いただいて“坂元(裕二)さんと開発しているプロットがあるんだけども読んでくれないか”、と言われた時点で僕はもう読む前に引き受けることは決めていたので。どんな話であれ引き受けてチャレンジしてみようと思いました」とタッグへの思いを明かしました。

■是枝裕和 坂本龍一さんへ感謝

また音楽については、坂本龍一さんに監督が直接依頼したそうで「撮影場所が諏訪に決まって、坂元(裕二)さんの描かれる風景が明快になっていったときに、夜の湖に龍一さんのピアノが響くといいなと思って。それで撮影した段階で編集したものを、仮当てした音楽と一緒に手紙を書いてオファーしました」。

当時、既に龍一さんの体調は良好とはいえない状況だったそうですが、それでも返事はすぐに来たようで「体調のことがあったので、本当にダメだったら諦めようと思っていたんですけど。お手紙が届いて、“全部を引き受ける体力は残ってないけども、(映像が)とても面白くって、音楽のイメージが何曲か浮かんでいるので、形にしてみますので気に入ったら使ってください”、って」と龍一さんとのやりとりを明かしてくれました。

続けて是枝監督は「亡くなられたのは本当に残念ですけども、最後にこういう形でご一緒できたのは、本当に自分にとって誇りですし、自分以上にこの作品にとって坂本さんの音楽が必要だったっていうのは、できあがった作品を見ると誰よりも自分が強く感じています。本当に感謝しています」と思いの丈を伝えました。

映画は、大きな湖のある郊外の町が舞台。学校で起きたケンカが大事になり、子供たちがこつ然と姿を消すところから物語が始まります。