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27歳でCA、35歳で芸人になったCRAZY COCO 「悔いなく生きたい」行動力の原点に母親

2024年2月1日 22:40
27歳でCA、35歳で芸人になったCRAZY COCO 「悔いなく生きたい」行動力の原点に母親
元CA芸人・CRAZY COCOが語る人生の転機
お笑い芸人のCRAZY COCOさん(37)にインタビュー。元CA(キャビンアテンダント)という異色の経歴を生かした、“CAあるあるネタ”で知られるCOCOさんがこれまでの人生を振り返り、自身の経験や考えをまとめたエッセー本を出版しました。35歳で芸人になろうと思ったきっかけや、COCOさんに大きな影響を与えた母親との秘話を聞きました。

■新型コロナ感染を機に「エンターテイナーになりたい」

――初のエッセー本『元CA芸人 CRAZY COCOの夢へのフライト直行便』を発表しました。本の中にもありますが、COCOさんの人生の転換期について教えてください。

ターニングポイントは2回あったと思っていて、大きく決断したきっかけは現状を打破したいっていうことと、一度きりの人生を悔いなく生きたいっていう。(新卒で3年半商社で働いたあと)27歳の時にキャビンアテンダントに転職するということが大きかったんですけど、どんどん働いていくうちに、理不尽なことは嫌だし、自分が楽しいと思っていないことで悩むのはすごく嫌だなって、どこかで踏ん切りがついて。(友人が)エミレーツ航空の採用が始まるから受けてみたら、絶対今のCOCOよりも輝けると思うからって話してくれて。

――35歳で芸人になろうと思ったのは、どんな思いからだったのでしょうか?

(母親の病気を機に)CAを辞めた後、英語学習のコンサルタントや外国人就労サポートの仕事をしていたのですが、新型コロナウイルスに感染して入院してしまった時に、どこかでキャビンクルーの時の自分を超えられていない自分がすごく悔しかった。それはお給料面でもそうだし、「“最高な毎日を送ってます”と言えていますか?」と自問自答した時に「あ、違うな」と。

入院を2週間弱した中で自分の過去を振り返った時に、習い事のバレエとかダンスとかしている時に、人前で体を使って表現して皆さんが喜んでくれるってのがすごくうれしかったのを思い出して、エンターテイナーになりたい、なろうって決めました。

■行動力のすごさの背景に「母をずっと見ていた」

――その時々の行動力がすごいと感じました。どうして自分で決めたことをすぐに行動できるようになったのでしょうか?

今思うと、自分の中で常に時間がなかった感じがあるんですよね。いっぱい考えて、思考が整理されて答えが出せる人もいると思うのですが、私の場合、幼少期から例えば父が病気だったり(COCOさんが2歳のときにALSを発症)とかで、でも母は働かなきゃいけない、秒の差でもしかしたら父が亡くなっちゃうかもしれない。決断を早くする母をずっと見ていたんですよ。(母親が)会社休んで病院の入院に付き添うとか、“早く決めてください”“入院どうしますか”みたいな。決められた時間の中で、早く答えを出さなきゃいけないっていう環境下で育ったのがあったんじゃないかなと、大人になってから思いますね。

――年齢を考えたときに、躊躇(ちゅうちょ)してしまうことはなかったのでしょうか?

全然なかったですね。母の育て方がすごくよかったと私は思っていて。一度も自分がやりたいって思ったことを否定されたこともないし、年齢を理由に「これしちゃダメだよ」とか言われたこともないし。自分の中で何かやりたいと思ったことは、そのタイミングで始めたら遅くないっていうのはずっと思っていました。

■芸人になる時、勇気を出して伝えた「家族優先で」

多分、周りから見たら、もしかしたらワガママと捉えられているかもしれないんですけど、吉本にスカウトしていただいた時も母が病気で体がちょっとよくなかったので、東京所属(出身は大阪)にはなりますけど「仕事一番でできないです」「家族優先で仕事します。それでもいいんだったら所属させてほしいです」という前提のもと入っているので。

こういう芸能のお仕事をしていると、全然休みが取れなかったりとか、大変なことがあってもすぐ仕事休めないっていうのはあると思うんですけれど、(会社が)私の希望をずっとかなえてくださっていたので、そこは勇気出して言ってよかったなと思います。人によって何を一番に持ってくるかというのは全然違うと思うんです。私が一番大切にしたかったのはその時点では家族だったので、そこはブレることはなかったですね。

■約1か月前に母親が死去 悲しみとの向き合い方

――COCOさんの生き方にも大きな影響を与えたお母さんが、去年12月に亡くなりました。今どのようにその事実と向き合っていますか?

不思議なんですけど、亡くなった後の方が平気というか。明日 四十九日なんですけど、亡くなる前って「いつ逝ってまうかわからへん」みたいなのがあるから、私が東京でお仕事している間にLINEで家族・親戚から「天国いきました」とかなったらどうしよう…というので、毎日泣いちゃっていたんですけど、今はもう苦しまなくて済んでいるっていう。受け止め方としては、自分の中で“仕事にまい進できるタイミングが来た”って思うようにしています。悲しいけど、きっと全てのことに意味があると思ってて。

――特に印象に残っているお母さんとの思い出は何でしょうか?

いっぱい旅行行ったことですかね。10か国以上は多分一緒に行っているんで。本を手にとってくださっている方もいろんな事情があって、なかなか旅行に時間とお金が割けないっていう人いるかもしれないんですけど、先行投資してでも大切な人と旅行に行って、時間を一緒に過ごしてほしいなってめっちゃ思いますね。好きなブランド物買って、それで自分のテンションが上がる人もいると思うんですけど、でもそれって死んだら持っていけないし、やっぱりその人との思い出は多いに越したことないなって思いますね。

――お母さんがこの本を手にとっていたら、どんな言葉をかけてくれたと思いますか?

(旅行中の)水着のお母さんの写真とかも多分どこかにぶっこんだんで(笑) 「ちょっと!」ってなっているかもしれないですけど、でも結局私がやりたいと思って実現したことを一番に喜んでくれる人だったので。今、天国で読んでくれていたとしたら、めっちゃ爆笑しながら「ありがとう」って言ってくれていると思います。


【CRAZY COCOプロフィル】
1986年9月6日生まれ、大阪府出身。吉本興業所属の元外資系CA芸人。「東京CAと関西CAの違い」など、自身の経歴を生かしたネタ動画がSNSやYouTubeなどで注目。現在インスタグラムはフォロワー23万人、YouTubeチャンネルは登録者数26万人を誇る。バラエティー番組やラジオ番組にレギュラー出演するなど、活躍中。