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【なぜヒット?】アニメーション映画史上歴代1位『インサイド・ヘッド2』 共感を呼ぶ“思春期の心情”

2024年8月7日 6:40
【なぜヒット?】アニメーション映画史上歴代1位『インサイド・ヘッド2』 共感を呼ぶ“思春期の心情”
『インサイド・ヘッド2』公開中 (c)2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved. 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
世界興行収入が約2323億円(※8/4付 Box office mojo調べ/1ドル149.41円計算)を突破し、アニメーション映画史上歴代1位を記録。さらに、世界興行収入ランキング全体でトップ10入りを果たしたディズニー&ピクサー最新作『インサイド・ヘッド2』。日本でも1日から公開され、4日間で、動員数は57万2752人、累計興行収入は7億3692万2780円を記録しました(配給会社発表)。この数字は『デッドプール&ウルヴァリン』や『怪盗グルーのミニオン超変身』を超え、2024年に日本で公開した洋画1位の初日興行だということです。なぜ、大ヒットを記録しているのか取材しました。

映画は、主人公・ライリーの頭の中が舞台で、キャラクター化した“感情たち”がライリーを幸せにするために奮闘していく物語。前作『インサイド・ヘッド』では、ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリといった感情たちが登場しましたが、今作では、ライリーが思春期を迎え、シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシいった“大人の感情”たちが登場します。

歴史的ヒットの要因について、これまで『モンスターズ・インク』や『トイ・ストーリー4』に携わったマーク・ニールセンプロデューサーは「今回の作品では“シンパイ”という少し複雑な感情について描いていますが、それは子どもや大人、性別や年齢などにかかわらず感じる感情だからだと思います」と語ります。

劇中では、高校入学を控え、思春期を迎えた主人公・ライリーが、友達との関係や、進路などに悩む様子が描かれています。悪い想像ばかりしてしまったり、他人と比べてしまったり、無気力、恥ずかしさなど、思春期特有の感情が巻き起こる中で、本当に大切なものに気づいていきます。

思春期ならではの感情と向き合う姿が描かれた今作。映画を手がけたケルシー・マン監督は「この映画は、自分自身を受け入れることをテーマにしています。ダメなところも含めて、自分を愛すること。誰しも愛されるために、完璧である必要なはいのです」とコメント。さらにイベントでは「10代になると自意識が強くなり自分にすごく厳しくなる。それゆえに新しい感情が出てきて、自分のことを責めたりしますが、最終的には自分を愛するということを学んでいく、そういうことを込めました」と明かしています。

■“思春期”を迎えた主人公に共感の声

映画を見た夫婦は「自分が思春期のときに漠然と感じていたことがいろんな感情で表現されていた。不安、心配が悪者みたいなイメージになっちゃうかなと思うんですけど、今から自分の思春期を振り返ってみるとそれもすごい大事な要素だったし、自分の中の大事な一面なのかなと改めて気づいた気がします」と語りました。

さらに、30代の会社員は「人の感情について描いてる映画だと思うので、どんな感情を持っていても、どんな年齢でも、人は自分と向き合うことは大事だと思うので、誰にでも刺さるのかなと個人的には思いました」と明かしました。

また、7歳の子供と一緒に映画を見た30代の母親は「できるだけ嫌な思いをさせないようにみたいな育て方をしてたけど、それ(嫌な思い)もこの子に必要なのかな。成長のために。いろんな経験とかさせていくのはいいのかなって思いました」と語りました。

ケルシー監督は「自分ひとりではないという事実を、人々が受け止めてくれることを願っている」と明かし、「自分自身について自意識過剰になり始めるのは、自分が一歩踏み出すときなんだ。だからこの年頃(思春期)になると、親や介護者を遠ざけてしまう。自分自身に批判的になり、それが行き過ぎてしまうこともある。特にその年頃はそうだった。自分だけが物事を考えたり感じたりしているような気がして、本当に孤独を感じていたんだ。私がその年齢だったとき、“大丈夫だよ、1人じゃないよ。すべてうまくいくよ”と伝えてくれるような映画があれば本当に助かったなと思うんだ」と語っています。