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ちばてつや、松本零士さんとの思い出を回顧 「宇宙船に乗って“ビフテキを食ってみたい”と…」

2023年6月4日 21:20
ちばてつや、松本零士さんとの思い出を回顧 「宇宙船に乗って“ビフテキを食ってみたい”と…」
松本零士さんにお別れの言葉を送ったちばてつやさん (c)松本零士/零時社
2023年2月に85歳で亡くなった、漫画家の松本零士さんのお別れの会が3日に行われ、漫画家のちばてつやさん(84)が、お別れの言葉を送りました。

ちばさんは「あなたと初めて会ったのは、今からもう65年前、二人とも高校を卒業した次の年」と松本さんとの出会いを振り返り、「あなたは、北九州の小倉から夜汽車にのって上京したばかりで夜行列車の煙のススでしょうか、ちょっとホッペタが黒く汚れていて、でもまだ学生服の詰襟が似合う、紅顔の美少年でした」と、当時の松本さんを回顧。

松本さんの志は人一倍高かったというちばさんは、「いつかそのうちに大きな連載を勝ち取って、原稿料もらったら超一流の三つ星レストランでザブトンのようなステーキを食ってやる。その時にはちばちゃんにも食わせてやるぞ・・・」と二人で夢を語り、練習に励む毎日だったと明かしました。

また、「我々がちょうど四十歳になる頃でしたけど、戦闘機とか戦艦とか、宇宙船だとかコックピットだとか・・・そういうメカニックが大好きな松本さんがある日突然電話をかけてきて“超音速旅客機のコンコルドに乗りたいぞ”と言い出して、コンコルドに乗って宇宙に近い成層圏を飛んで世界一周するからちばちゃんも一緒に行こう・・・と誘われました」といいますが、「成層圏もコンコルドも、メカニックも、全く興味がない人間だったし、それより何より、仕事も人一倍遅いものでしたから、週刊誌の締め切りで七転八倒していたので絶対無理だとお断りした」と明かしたちばさん。

しかし、「もうツアーも組んで、旅券からホテルから全て予約したから、と。もういろいろと寝耳に水で、松本さんの強引さに呆れて、あんなに慌てたことはありませんでしたよ」と当時を振り返りました。

■「あなたが遺してくれた業績は本当に偉大」

その後も、お互いに時間がない中、一緒に草野球やゴルフをやったり、仕事もして、遊びもしたと明かしたちばさん。「80歳を過ぎてからもあなたはいつも元気で、“ちばちゃん、そのうちに宇宙船に乗りたいな。宇宙船に乗って、無重力のなかで座布団みたいなビフテキを食ってみたい”と元気いっぱいでした」と、松本さんの様子を振り返りました。

さらに「あなたが漫画やアニメーションに遺してくれた業績は本当に偉大」と語り、紫綬褒章受章、旭日小綬章受章、フランス芸術文化勲章シュバリエ受章など、数々の功績を残した松本さんをたたえました。

最後には、「松本さん、今あなたとお別れするのはとっても辛いですが・・・もう、誰がどうみてもこれ以上ない、充実した人生、世界中の人から拍手喝采をされる、大往生でした。長い間お疲れ様」と伝え、「私もね、もう少しだけ頑張ったら、松本さんの居る銀河系を追いかけて行きますから。そしたら今度こそ、ザブトンのようなビフテキを一緒に食べようね。じゃあいってらっしゃい」とお別れの言葉を送りました。

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