『パンどろぼう』シリーズ最新作 今年“おすすめしたい絵本”の頂点に 異色のキャラクターが誕生するまで
『MOE絵本屋さん大賞』とは、月刊MOEが全国の書店の絵本担当者など3000人に聞いた、おすすめしたい絵本30冊を決定する絵本ランキングです。
柴田さんは、高知県在住の絵本作家兼イラストレーター。2016年に初絵本『めがねこ』(手紙社)で絵本作家デビューしました。2020年に発表した『パンどろぼう』(KADOKAWA)は、『第11回リブロ絵本大賞』、『第1回TSUTAYAえほん大賞』を獲得し、『第13回MOE絵本屋さん大賞2020』で第2位にランクインしました。『パンどろぼう』のほかにも、『パンどろぼうvsにせパンどろぼう』『パンどろぼうとなぞのフランスパン』など発表し、人気シリーズに。今年9月に発表した最新作『パンどろぼうとほっかほっカー』が、今回1位に輝きました。
■制作のこだわりは「ワクワクするような驚きがある」
どのように『パンどろぼう』シリーズは生み出されているのか。日テレNEWSは2022年10月に、柴田さんにインタビュー。異色のキャラクターの誕生秘話や物語を作る上でのこだわりなどを伺っていました。
――『パンどろぼう』が誕生するまでの経緯を教えてください。
元々『パンどろぼう』の前から、食べ物の絵本を描く機会がありまして。編集者から「他に食べ物の絵本描きますか?」みたいな案をいただいて。その時にちょうど自分の個展で、オリジナルで描いたパンをテーマにした個展をやったんですけど、“パンをかぶったしろくまくん”が逃げていくイラストを描いていたんですね。それを名刺に描いて渡したら、「すごく面白いですね」って言っていただいて。そのタイトルが『パンどろぼう』っていう絵だった。なかなか“パンとどろぼう”って組み合わさった絵本って聞いたこともなかったので、「何か面白いお話が作れそうだな」と思って『パンどろぼう』を作り上げました。普段オリジナルで描いた考えのもとが絵本になった、きっかけになったっていう感じです。
――元々パンへの思い入れは強かったんでしょうか?
パンは本当にすごく好きで。“1日1つは絶対食べる”っていうぐらいパン好きだったので。あと、(パンの)膨らみとかフォルム的なものをイラストで描くのも面白いなと思って、わりとスッと入っていった題材ではありました。
――柴田さんがストーリーを作る上でのこだわりやルールはありますか?
やっぱり自分が面白くないと面白いのが描けないので、自分が読んでいて“こういう展開になったら面白いな”っていうものを描きたいなって思っています。読者の方にも喜んでほしいので、ページをめくるたびにワクワクするような驚きもあったり、そういう展開の仕方が結構好きです。