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ミッフィーが「正面向き」「6色」のワケ 世界で愛されるブルーナ作品のこだわりを取材

2023年8月22日 12:50
ミッフィーが「正面向き」「6色」のワケ 世界で愛されるブルーナ作品のこだわりを取材
『ブルーナ絵本展』を取材
ミッフィー(うさこちゃん)』の生みの親として知られる絵本作家 ディック・ブルーナさんの原画などを展示する『ブルーナ絵本展』が東京・銀座で開催されています(8月30日まで)。世界中で翻訳され愛され続けるブルーナ作品のこだわりを、ディック・ブルーナ・ジャパン広報の担当者に聞きました。

■初期の絵本7冊もオランダから来日

世界で翻訳され、ロングセラーとなっているブルーナさんの絵本シリーズ。ブルーナさんが初めて絵本を発表したのは、1953年のこと(『de appel(りんごぼうや)』)。今年、作品誕生から70周年を記念した『ブルーナ絵本展』では、ミッフィーはもちろん、くまの男の子『ボリス(ぼりす)』シリーズなどの原画、スケッチ、制作メモなどが展示されています。

また、ブルーナさんが描き続けてきた約120冊の絵本作品が集合。正方形のスタイルになる前に作られた、初期の絵本7冊もオランダから来日しました。

■絵本作家 ディック・ブルーナ “シンプル”へのこだわり

ディック・ブルーナ・ジャパン広報の相生佳津子さんによると、ディック・ブルーナさんは1927年オランダ・ユトレヒトで生まれ、絵本を作り始める前から、父親の出版社でグラフィックデザイナーとして活躍し、文庫本の表紙をデザインしていたそうです。約20年の間に手がけた表紙は2000冊にもおよぶということです。

ブルーナさんは、1955年にミッフィーの最初の絵本となる『nijntje』を発表しました。ミッフィーは、オランダではナインチェと呼ばれていて、英語訳されたときに『miffyミッフィー』、日本語訳では石井桃子さんによって『うさこちゃん』と名付けられたといいます。ブルーナさんは約60年にわたり創作を続け、2017年2月その生涯をとじるまでに、120作を超える絵本を創作しました。

そんなブルーナ作品の特徴の一つが、シンプルな絵。“想像の余白”を残しておくことが大事だと話していたそうで、相生さんは「(ブルーナさんは)想像の余白があれば、描かれた内容以上のものを自由に見ることができる、と考えていました。“とくに絵本は子どもたちのためのもの。ぼくの絵や色が、子どもたちのイマジネーションのつばさを広げることに役立つとしたら、こんなにすばらしいことはありません”と語っています」とブルーナさんの思いを明かしてくれました。

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■色、体の向き、線、ストーリー ブルーナ作品の特徴
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