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川田利明、セカンドキャリアは「0点以下、マイナス点」 プロレス四天王が今はラーメン店の店主

2024年6月5日 22:10
川田利明、セカンドキャリアは「0点以下、マイナス点」 プロレス四天王が今はラーメン店の店主
セカンドキャリアとしてラーメン店を経営する川田利明さん
全日本プロレスなどで活躍したプロレスラーで、現在は東京・世田谷区でラーメン店『麺ジャラスK』の店主である川田利明さん(60)にインタビュー。今年で開店から15年目を迎える川田さんに、セカンドキャリアとして選んだラーメン店のこれまでの道のりと苦労を伺いました。

■「絶対にやらないほうがいい」経験から語る逆説ビジネス本

今回文庫版として発売された『プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る』は、“10年続くラーメン屋は1割、開業から3年以内に8割はつぶれる”ともいわれるラーメン業界で、今年15年目を迎える川田さんが、「ラーメン屋は絶対にやらないほうがいい」と言うほど過酷だった日々をつづった、逆説ビジネス本となっています。

川田さんは、1982年に全日本プロレスに入団。同年、冬木弘道戦でデビューし、1994年には全日本プロレスの象徴ともいえる三冠ヘビー級王座を獲得しました。全日本プロレスでの川田さん、三沢光晴さん、小橋建太さん、田上明さんの激しい闘いは“四天王プロレス”と呼ばれ、ファンを熱狂させました。現在はプロレスラーとしてはリングから遠ざかり、2010年に自身のニックネーム“デンジャラスK”にちなんだ名前のラーメン店『麺ジャラスK』をオープンし、店主を務めています。

――セカンドキャリアとして飲食店、ラーメン店を選んだきっかけを教えてください。

同じ業界でずっといた人が亡くなって、自分がこのまま続けていっても、ずっとできるわけじゃないし、そういう(試合中の)大きな事故もあるんじゃないかということもある。高校時代からその人を追っかけて、ずっとプロレスに対してはやってきた部分があったので、そういう自分の目標みたいなのが少し薄れてしまったので、何かほかにできることはないかなって。

たまたま、(以前はラーメン店だった)この物件が長い間空いていたので、じゃあラーメン店をやってみようかなって。それが最大の間違いだったというか。普通なら自分が何かをやりたいから、そのことに対して物件を探して、じゃあ始めようというのが普通、飲食店に限らず、ほかのものでもそうだと思うんですけども、「ここが空いたから、ここに合うような、前の業種をじゃあやってみようか」って。自分なら何をやってもある程度ならできるんじゃないかなっていうのが、大きな間違いでした。

■ラーメン店経営は「自分には合ってない」

――川田さんがセカンドキャリアについて考えたのは急きょという印象ですが。

そうですね。自分がプロレスをやっている時って、次のことなんて考えてないんですよね。次のことを考えていたら、こんな体がボロボロになるまでやってなかったと思うし。考えておけばよかったのかなと。

――セカンドキャリアとして選んだラーメン店ですが、今の仕事は自分に合っていると思いますか。

合ってないと思います。ジャイアント馬場さんの下で働いている時が、高額なギャラとかもらったわけでもなくても、安定して食べていけていた。会社に守られて自分が働いているってことが、いかに大事かってことがつくづくわかりました。色々な意味で守られているってことは、それが一番だったかなと思います。その後はずっと苦労しかないので。

■ラーメン店経営で歩んだ道は何点?

――川田さんといえば“俺の王道”、“俺だけの王道”というキャッチコピーがありますが、セカンドキャリアとして歩んできたラーメン店経営の道はどのように採点しますか。

どうだろうね。飲食店としては売り上げもなく、本当に0点以下、マイナス点だと思うんだけど、僕と会いたくて来てくれるお客様が少しでもいたということはすごく励みになったし、やっててよかったのかなって。(お店を)やらない方が赤字も出ないし、食いつないでいけたのかなとは思うんですけど、リングに上がらなくなってから(ファンと)触れ合う場所がここであったっていうことは、やっててよかったのかなって。

■プロレスもセカンドキャリアも過酷な道へ

――プロレスラー時代と、ラーメン店を経営されている今、どちらの方が苦労や大変さを感じますか。

プロレスラーの時はリング以外でも、ものすごく自分で努力して、人一倍練習もやっていたし、努力していたつもりなんだけど。大事な試合とか終わった後って、ホッとする瞬間というのがあって、それがこの仕事にはないのかなって、そういう面ではラーメン店の方がすごく厳しいかな。馬場さんの全日本プロレス時代に、ちゃんと毎回お金が入ってくる。ここは出ていくだけで、入ってきませんから、それは大きな違いです。

ラーメン店って高いお金が取れないから。食材、光熱費もそうだし、いろいろなものがすごく上がってきてるのにお金を取れない。ラーメンって安いものなのに、値上げしたらお客さんって離れていく。不思議なんですよ。

――飲食店経営の中でも過酷なところに川田さんは飛び込んでしまったと。

そうですね、なにかこうプロレスといいこの業界といい、あえて苦しいことを選んでいるわけじゃないんだけど、自分に何かそういうものが降りかかってくるっていうか。それも人生、楽しみのひとつにしなきゃなって思わないとやっていけないですよね。

――今後の目標を教えてください。

自分としては何かのきっかけで流れを変えて、こんな場所でもお客さんが来てくれることを何か考えたいなとは思っているんだけど。考えもそうだし、先立つものもないし、地道にギリギリ続けられたらいいのかなって。

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