『このミステリーがすごい!』大賞発表 “ナイナイ”のラジオ番組を担当する構成作家が受賞
ミステリー&エンターテインメント作家・作品の発掘や育成を目的とした、第21回『このミステリーがすごい!』の大賞が発表されました。大賞は小西マサテルさんの『物語は紫煙(しえん)の彼方に(仮)』に決定しました。
この賞は、宝島社が主催し2002年に創設された新人賞です。過去には『チーム・バチスタの栄光』(海堂尊さん著・第4回大賞)や『元彼の遺言状』(新川帆立さん著・第19回大賞)など、映像化された作品もあります。
受賞作『物語は紫煙の彼方に(仮)』は、小学校教師をしている27歳の楓(かえで)と、レビー小体型認知症を患う祖父の物語。楓が持ち込む“謎”に鮮やかに解答する祖父の姿を描いたミステリーです。
著者の小西さんは、明治大学在学中から放送作家として活動しており、現在は『ナインティナインのオールナイトニッポン』などのメイン構成を担当しています。
受賞に際し小西さんは「本作を執筆する直接的なきっかけは、長らくレビー小体型認知症を患っていた父の存在でした。5年以上に及び妻と共に介護を続けるうち、世間にこの認知症への誤解があまねく広がっていることに気がつきました。この病気への理解を深めたい、せめて興味を持ってもらいたい──そう強く思ったうえでのアプローチのかたちが、私にとってはミステリでした」と本作を書いたきっかけを明かしました。
作品は「マニア心をそそられる趣向が凝らされており、古典作品へのオマージュも好印象」、「キャラクターが非常に魅力的」などと評価されています。
また、文庫グランプリには美原さつきさんの『イックンジュッキの森(仮)』と、くわがきあゆさんの『レモンと手(仮)』が選ばれています。
3作品は2023年1月から順次、書籍化される予定です。