元宝塚雪組スター・彩凪翔、退団から1年後の現在地――初めての女性役…「ストプレ」に挑戦
■宝塚卒業のイベント「10日前」とは
(中島アナ):2021年の4月に宝塚をご卒業されてからちょうど1年。今日はオフの日の写真をお借りしました。これはどういったものですか。
「宝塚には全組共通で『10日前』というイベントがあります。卒業生が卒業する公演の千秋楽から数えて10日前に化粧前や楽屋着などすべてが真っ白になるんですね。お世話になっていた下級生や同級生が白く飾っていくんです。左側が雪組でつい最近10日前だった綾鳳華ちゃんに作った汗ふきシート入れです。彼女は星組から雪組に組替えしたので、左上が星のモチーフで手前が雪のモチーフ。右側はつい最近千秋楽だった花組の桜月のあちゃんという下級生で、彼女は音楽学校生の時から私にお手紙をくれたり慕ってくれていた子で、卒業するということで作ったんです。彼女は花組なので、お花のモチーフとピンクの石を飛ばしています」
■「ストレートプレイ」にも挑戦
(中島アナ):お仕事の話も伺います。退団してから、お仕事で一番変化したことは?
「今まで雪組という同じカンパニーの中で作品を作ってきました。(退団後は)色々なジャンルで活躍されている方、(宝塚)卒業生の方、在団中は全然関わりがなかった上級生の方々などとお仕事をして、ご縁が広がっているのが、私の中での大きな変化ですね」
(安藤アナ):舞台「フランケンシュタイン-cry for the moon-」に出演されました。
「はい。盲目の役だったんです。女性役を初めて演じる上で、声の高さもそうですし、盲目の芝居をしなきゃいけないということで、いろいろ苦戦しました。初めての外のお芝居でしたが、(元宝塚の)七海ひろきさんが主演でしたので本当に心強かったですね」
(中島アナ):「ストレートプレイ」という会話だけの舞台で、ミュージカルとはまた違うと思うのですが、苦労をする点はありましたか。
「そうですね。やはり盲目の役を演じることは難しくて、どうしても動くものを(目で)追ってしまうので、動かさないようにしていました。怪物さんは話せないんです。こちらは目が見えないから音だけで反応しなきゃいけないんですけど、自分が答えたことに対して返答がない。息遣いやバタバタ音が鳴っていることに反応してセリフを言っていくというところが難しい。お互いが『見えない』『しゃべれない』というところのお芝居が難しかったです」
■映像の世界にもチャレンジへ
(安藤アナ):これからやってみたい役はありますか。
「映像のお芝居を勉強してみたいです。舞台とは全然違うので、1からの勉強だと思うんですけど、違うことにもチャレンジしてみたいなと」
(中島アナ):先ほどは刑事役をやってみたい、という話もありました。
「立ち回りとかね。銃をバンバンやる感じをやってみたいですね。ちょっと男役が生かせそうな格好いい役にチャレンジしてみたいです。でも、舞台と映像では同じ立ち回りでも全然違うと思うし、女性の立ち回りというところもまた(違う)。どちらかというと私は新撰組とか刀が多かった。ピストルや素手(の立ち回り)があまりなかったので、そこも新しいチャレンジではあります」
■「いつも誰かが…」
(安藤アナ):最後にゲストに共通の質問があります。宝塚で学んだことで一番生きていることは何ですか。
「『いつも誰かが支えてくださっている』です。どうしたらいいのかなと悩んだり、頑張ってお稽古しているけど変わってないんじゃないかなって思ったりした時も、誰か先生や上級生が『変わってきたね』と、誰かが見てくださっている。『一人じゃないな』ということを感じます。応援してくださるファンの皆さんにも『新しいチャレンジをしているね』と言われて、誰かが見てくださっているなと。それを感じられるようになったことが宝塚で生きていることです」
「男役を好きで応援してくださったファンの方々もたくさんいらっしゃる。でも男役を卒業しても、いち役者、エンターテイナーとして応援してくださる方がいらっしゃるのは自分の中でモチベーションになります」
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『アプレジェンヌ 〜日テレ大劇場へようこそ〜』は日テレNEWS24のシリーズ企画。元タ カラジェンヌをお招きし、日本テレビアナウンサーで熱烈な宝塚ファンである、安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が、ゲストの宝塚時代・退団後の生き方に迫ります。次回は元花組スターの天真みちるさんです。