元宝塚男役スター・彩凪翔、「娘役受験だった」受験生時代の秘蔵映像に感慨――「壁がある方が楽しい」未来のタカラジェンヌに贈る言葉は
■15歳、受験生当時の思い
(中島アナ):彩凪さんは大阪市出身。6月2日生まれ。2006年に92期として入団。華やかな舞台姿で雪組の核となるスターとして活躍。2021年4月に退団しました。退団後も俳優として精力的に活動をされています。
(安藤アナ):まず一緒にご覧いただきたいVTRがあります。こちらは2004年、未来のタカラジェンヌを目指して宝塚音楽学校受験に挑んでいた15歳、中学3年生当時の彩凪翔さんの密着企画です。日本テレビの情報番組『ザ・ワイド』で放送されました。日々、バレエ・声楽・面接のレッスンなどに励んでいる貴重な姿が収められています。
<15歳当時の彩凪翔さん>
「初めて舞台を見に行ってから、いろいろ見に行くようになって、それからいつの間にか宝塚が、ファンから自分も同じ舞台に立ちたいと思うようになりました」
(中島アナ):『ザ・ワイド』の秘蔵映像をサプライズでご紹介しました。改めてご覧になってどうですか。
「私も久しぶりに見ました。私は『娘役受験』だったんですよ。髪の毛も長くてまだ身長もこの時は、163、4センチくらいだったんです。そこから急激に(身長が)伸びて。声もちょっと高いですね」
(安藤アナ):当時を振り返っていかがですか。
「私は引っ込み思案で人前で話すのが苦手だったんです。恥ずかしくて人見知りもすごかった。だからこの取材受けていたのも自分でもびっくりなんです。ただ、当時は本当に受験に必死になっていたので…。一緒に取材を受けた同期がいるんですよ。凛城きらさんです。見ると初心に戻りますね。声楽のレッスンも蚊の鳴くような声で歌っていましたね…。声量が小さくて、下級生の時は苦労しました」
(安藤アナ):中学校を卒業して入団、一番年下になるわけですもんね。上級生の皆さんとの関わりなど、どんな在団期間でしたか。
「改めて上級生の方々って温かくて。気づいたらアドバイスを言ってくださるのは本当に温かいなと思います」
■娘役か男役か、悩んで髪を切った
(安藤アナ):こちらは宝塚音楽学校の合格発表の日の様子です。
<当時の彩凪翔さん>
「心配なんですけど、自分なりに頑張れたので落ち着いて見て来たいと思います」
「紫吹淳さんのように、ダンスが上手くて声楽も上手い男役になりたいと思います」
(中島アナ):合格したときの喜びは覚えていますか。
「覚えていますね。ちょうど退団も同じ公演になった笙乃茅桜と一緒に見に行ったんです。忘れられないですね。私は受験する直前に宝塚を知って、慌てて声楽などのお稽古をして運よく合格できたので、そこからが大変だなと感じていました。小さいころから受験スクールに通ってきている人、声楽を専門にやってきている人たちが入ってくる中で、私はバレエしかやっていなかったので、入ってからが本当に大変だと」
(中島アナ):当時、目指していった男役像は。
「色気とか妖艶さのある魅力的な男役になりたいと考えて日々過ごしていました。すごく身長が伸びていたんです。(当初は娘役の受験で)まだ娘役かなと思っていたんですけど、コメントのときに『男役や!』と思って切り替えたんです。でも実はあの時はまだ悩んでいました」
「入学式前のガイダンスまでに『男役になる人は髪を切ってきてください』って言われて、そこで悩みに悩んで(髪を)切ったんです。このコメントの時はまだちょっと自分の中でも迷いがある」
■「壁にぶつかったら変われるチャンス」
(安藤アナ):迷いがあった中、男役の道を選んで全うした今、改めて当時を見ていかがですか。
「初心に戻りますね。15年とちょっと在団していて、諦めないでいろいろ頑張ってきてよかったなと。じゃないと、こんなところにも呼んでいただけないですし。『壁がある方が楽しいな』と思います。自分が変わろうとしているからこそ壁に出会う。それを越えていくことで自分の成長を感じるので」
(安藤アナ):これから宝塚音楽学校に入るのは110期生。脈々と受け継がれているわけですが、これからタカラジェンヌになる人たちに伝える言葉はありますか。
「壁にぶつからないことは絶対ない。壁が来たら自分が変われる、成長できるチャンスをもらったと思って、突き進んでほしいなと思います。底に落ちた時に私はそう思うようにしていました。壁があるから新しい自分がどんどん積み重なっていく。ぜひ壁をよけないで突き進んでもらえたらと思います。頑張ってください」
(中編 に続く)
◇ ◇ ◇
『アプレジェンヌ 〜日テレ大劇場へようこそ〜 』は日テレNEWS24のシリーズ企画。元タカラジェンヌをお招きし、日本テレビアナウンサーで熱烈な宝塚ファンである、安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が、ゲストの宝塚時代・退団後の生き方に迫ります。次回は元花組スターの天真みちるさんです。