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6冠達成の絵本『大ピンチずかん』 制作のきっかけは「我が子のしぐさ」 ありがちな失敗シーンに反響

2023年3月7日 8:40
6冠達成の絵本『大ピンチずかん』 制作のきっかけは「我が子のしぐさ」 ありがちな失敗シーンに反響
『大ピンチずかん』作者・鈴木のりたけさん
紀伊國屋書店が主催する『キノベス!キッズ2023』の贈賞式が2月28日に行われ、鈴木のりたけさんの絵本『大ピンチずかん』が1位に輝きました。子供にとって日常生活の“あるある”な大ピンチが反響を呼んでいるこの絵本。作者である鈴木さんにインタビューし、絵本制作のきっかけなどを聞きました。

2022年2月に出版された『大ピンチずかん』は、累計発行部数は17万部を記録。『第6回未来屋えほん大賞(大賞)』『第13回リブロ絵本大賞(大賞)』『第10回静岡書店大賞児童書・新作部門(大賞)』『第15回MOE絵本屋さん大賞2022(第1位)』『キノベス!キッズ2023(第1位)』『わかやま絵本大賞2023(第1位)』を受賞し、6冠を達成しました。

■『大ピンチずかん』の制作背景 きっかけは、我が子のしぐさ

絵本に描かれているのは子供にとって日常生活の“あるある”な大ピンチ。例えば“牛乳がこぼれた”、“(紙パックの)ストローがとれない”、“テープのはしが見つからない”など、大人が読んでも「あったあった」と思えるような内容になっていて、子供から大人まで楽しめる内容になっています。

――この絵本を制作しようと思ったきっかけは?

我が子のしぐさとか面白さを見て、本にできたらいいなというところからスタートしているんですけど。うちの子たちが特に二男が小1か2の時だったので、やっぱり一番小学生男子のネタ供給力が高い時期だったんですよ。なので、これはやっぱ面白いなと思って。こんなことを言い間違えたとか、こんな失敗をしたとかみたいな。そういうのも全部携帯にメモるようになっていて、それで子供たちと一緒に長男と長女と一緒に携帯を見返しながら、あの時あんなこと言ってたねって言って、ご飯のおかずにしながら、ゲラゲラ笑ってっていうのをずっとやってて。

■3人の子供の父親 日々の暮らしが本に

3人の子供のお父さんでもある鈴木さん。子供や自身の経験が描かれているという作品ですが、生活において大事にしていることがあると言います。

――すごく楽しそうな家族の関係が見えますね

普段の生活を楽しくしたいなと思ってるんで、そういうのを大事にしてますね。それが仕事とか、本とかに結びついてるっていうことも多いので、そういうことをよくやってますね。

――絵本を読んだ子供たちの感想は?

そんなにいろいろ言わないかなって感じだけど、でも、今でも「大ピンチだ!」とかっていうのは言ったりするし、棚の後ろに鉛筆入ったりとかすると「大ピンチ!」とかケラケラ笑いながら。取れよみたいな、そういうのは根付きましたね。「メモっとく?これ」みたいな(笑)

■お気に入りの大ピンチは“洗濯機の後ろに靴下が落ちる”

――お気に入りの大ピンチはありますか?

これはもう絶対誰でもあるし、最初にマストだなと思ったのが「洗濯機の後ろに靴下が落ちる」。もう絶対描きたいなって思ってて。洗濯機の後ろからほこりと一緒に水中メガネが出てくる。絶対お風呂で水中メガネつけて潜って遊んだよなみたいな、そこからいろんな思考が広がるじゃないですか。そういうのも面白くて。

■読者に伝えたいこと「ピンチを乗り越えて、笑い飛ばして」

日々の生活から多くのアイデアを拾い集め、できあがったという作品。最後に“この絵本で伝えたいこと”を教えてもらいました。

――『大ピンチずかん』を通して読者に伝えたいことは?

ピンチを乗り越えて、笑い飛ばして、さらにその先に力強く一歩踏み出すような強さみたいなところとかは。でも、それより以前に「何この失敗!」っていう感じで、失敗って誰にでもあることじゃないですか。あったって当然だなっていう気持ちになって、失敗をもっとみんな表に出すような雰囲気とかが、それで生まれるぐらいが一番いいかな。

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