【国内初発見】ティラノサウルス科の恐竜 下あごの骨の化石を発見 天草の苓北町
天草郡苓北町にある後期白亜紀の地層から、ティラノサウルス科の恐竜の下あごの骨の化石が日本で初めて発見されました。専門家は、生息していた時代や地域の広がりを知る重要な資料だと評価しています。
■福井県立恐竜博物館 宮田和周課長
「ティラノサウルス科の化石は、これまで日本では歯の化石だけ知られていました。ところが熊本から、この仲間のあごの骨の化石が見つかったんです」
ティラノサウルス科の恐竜のあごの骨の化石は、天草市立御所浦白亜紀資料館と福井県立恐竜博物館の共同調査で発見されました。
その化石は、「歯骨」と呼ばれる下あごの骨2つがくっついた状態です。左の歯骨の長さは14センチ、深さ8センチ、右の歯骨は長さ17センチ、深さ8センチあります。
肉食恐竜のティラノサウルス科。県内でも化石やレプリカの展示が行われるなど、人気の恐竜です。国内では、ティラノサウルス科の歯の化石は長崎市や天草市で見つかっていますが、あごの骨の化石は初めてです。
その化石が見つかったのが天草郡苓北町です。今から10年前、約7400万年前の後期白亜紀の姫野浦層群・下津深江層から採取した石を、CT装置で調査し判明したのです。
CT画像から復元した左の歯骨の内部の画像を見ると、4本の歯と生えかわる前の2本の歯が確認できます。歯の大きさと形の特徴から、ティラノサウルス科と考えられるということです。
この化石から推定される体の大きさは7から8メートル。ティラノサウルス科ではやや小型ですが、二足歩行の肉食恐竜、「獣脚類」としては大型だということです。
アジアでは年代が分かるティラノサウルス科の化石は極めて少ないことから、時代と生息域の広がりを知る重要な資料だということです。
■福井県立恐竜博物館 宮田和周課長
「日本の恐竜の変遷を知るためには、この西九州、特に天草はとても大事な場所です」
化石の実物は、3月20日にリニューアルオープンする「御所浦恐竜の島博物館」で常設展示されます。
【スタジオ】
ティラノサウルス「科」というのは、アメリカで発見されたティラノサウルスの仲間という意味で、ティラノサウルス科は北アメリカのほか、モンゴルや中国などのアジアで見つかっています。
今回の発見は、日本にもティラノサウルス科が生息したことを再確認するもので、今後、体の骨の発見も期待できるとしています。
ちなみに御船町で見つかったミフネリュウが国内で初めて見つかった肉食恐竜の化石ですが、年代が約9000万年と今回の化石よりももっと前のもので、熊本には長い時代、恐竜がいたことになります。