ロシアの特定の銀行を除外へ 「SWIFT」とは
岸田首相は27日夜、世界の銀行の決済システム「SWIFT」からロシアの特定の銀行を除外する措置に日本も加わることを明らかにしました。「SWIFT」とは一体何なのでしょうか?また、日本経済への影響はあるのでしょうか?
■SWIFTとは?
SWIFT=国際銀行間通信協会とは、世界各国の金融機関同士の取引に必要な情報のネットワークを運営する組織で、ベルギーに本部があります。
200を超える国と地域の1万1000以上の金融機関が参加していて、国際的なお金のやりとりに欠かせない民間組織です。
SWIFTを利用できなくなると、貿易などの決済や送金が難しくなるため、これまでも各国政府の要請などで経済制裁の対象となった金融機関をSWIFTから除外してきました。2017年には北朝鮮の金融機関も除外されています。
■ロシア除外の狙い
欧米各国がロシアの銀行を除外する狙いは、貿易の決済を難しくして、ロシア経済に打撃を与えることです。
また、SWIFTから銀行が除外されると、ロシアの通貨、ルーブルを簡単にドルに替えられなくなり、ルーブルへの信頼がなくなって価値が下がることになります。
2012年と2018年にはイランがSWIFTから除外され、イラン経済は大きなダメージを受けました。
■各国への影響は?
ただ、ロシアをSWIFTから除外することで、各国にも影響が広がることが懸念されています。
ロシアから多くの石油や天然ガスなどのエネルギーを輸入しているヨーロッパでは、決済ができないことで供給が滞る可能性があります。
さらに、今後ロシアが対抗措置としてヨーロッパ向けのパイプラインで原油や天然ガスを供給しなくなると、価格の上昇に拍車がかかる可能性もあります。
■日本への影響は?
この影響で、世界的に原油価格や天然ガスの価格が急騰すると、日本のガソリン価格がさらに上がることが懸念されます。
また、日本の大手の電力会社は発電所の燃料として天然ガスを大量に輸入しています。今後、電気・ガス料金にも影響してくる可能性があります。
■専門家は…
野村総研木内登英エグゼクティブ・エコノミストは今回の制裁の狙いについて「ルーブルの下落などでロシア経済にダメージを与え、ウクライナへの侵攻をやめさせるのが狙いだが、簡単には止まらないだろう」と指摘しました。
また、「一方、ブーメラン効果で世界や日本経済にも影響がはねかえってくる。ロシアは原油も天然ガスも世界第2位の産出国なので、燃料価格が高騰し、日本国内の物価も上がる。今後、制裁を最大限強めて原油価格が1バレル=140ドル程度まで上がると、原油高、円高、株安の3点セットで1年かけてGDP=国内総生産が全体で1.1%程度まで下落することも予想される」と話しています。