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物価高騰で「15万円」も――4社に1社“インフレ手当”の狙い 6割超は予定ナシ…「支給」「支給せず」の違いは?

2022年11月18日 11:04
物価高騰で「15万円」も――4社に1社“インフレ手当”の狙い 6割超は予定ナシ…「支給」「支給せず」の違いは?

物価が高騰するなか、検討中を含め26.4%の企業が「インフレ手当」支給に取り組んでいます。実施済みの企業の従業員からは「安心して在宅勤務ができた」などと、歓迎の声が上がります。ただ足下の業績が伸びていない企業では難しい現実もあります。

■支給済みは6.6%…手当の中身

有働由美子キャスター
「物価高騰が続くなか、『インフレ手当』を支給する企業が増えています。支給した企業は6.6%で、今後予定している、または検討中も含めると4社に1社の26.4%が取り組んでいます。17日発表された帝国データバンクの調査(有効回答企業1248社)で分かりました」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「例えばソフトウェア開発会社のサイボウズでは、7月から8月の間に一時金として6万円から最大15万円のインフレ手当を支給。正社員だけでなく、契約社員やアルバイトも含まれ、約1000人が対象です」

「家電量販店のノジマは、7月から毎月1万円を正社員と契約社員の約3000人に支給しているということです」

有働キャスター
「値上げが続いているので、少しでも生活の足しになるのはありがたいですよね」

小栗委員
「実際、サイボウズの社内からは『夏のエアコン代が心配だったが安心して在宅勤務ができた』『公共料金がすさまじく高騰しているのでありがたい』といった声が上がったそうです」

■廣瀬さん「基本給アップは悩ましい」

有働キャスター
「廣瀬さんは経営者でもいらっしゃいますが、いかがですか?」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「今期の収支はある程度見えてきたので、一時金という形で還元したいなとは思っています。基本給については、経済の先行きも不透明ですし来期は会社としても新たなチャレンジを控えているので、上げるかどうかは悩ましいなと思います」

■評論家に聞く…支給する企業の特徴

有働キャスター
「一方で、6割以上の企業は支給をためらっていて、厳しいということです」

小栗委員
「足下の業績が伸びていない会社はなかなか余裕がないということのようです。経済評論家の加谷珪一さんに聞きました」

「『今インフレ手当を支給しているのは、基本的に業績が良く、福利厚生の良さをアピールして人材確保に前向きな企業。大企業のしわ寄せがいく下請け企業や、同じ業界内でのパイの奪い合いで負けている企業は現実的には難しい』と話しています」

有働キャスター
「確かに、この状況だと前向きにはなれないかもしれませんね」

小栗委員
「本来企業には、こうした一時金や手当の形ではなく、基本給そのものを上げてほしいのですが、加谷さんは『基本給を上げるとこれから先毎年、総人件費が増えるので、企業としてはやりたくないのが本音だ』と指摘しています」

有働キャスター
「インフレ手当を支給した企業からは、人材流出の防止や、従業員のモチベーションアップのためにやるという声もあったそうです。苦しい時だからこそ人に投資しようという心意気、日本の企業に広がっていってほしいなと思います」

(11月17日『news zero』より)