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アマゾンは1万人「大量解雇」――IT企業で相次ぐ人員削減 ジェフ・ベゾス「景気後退がすぐやってくる」…コロナで収益増も転換

2022年11月16日 10:30

アマゾンドットコムも1万人の大量解雇に踏み切ると、米メディアが伝えました。新型コロナウイルス禍で収益が増え、人員も増やしましたが、多くの事業を一気に縮小させる方針に転換しました。IT企業で人員削減が続く背景には、景気後退への警戒があります。

■ツイッター、メタに続き…アマゾンも

有働由美子キャスター
「従業員の削減が相次いでいます。ツイッター、フェイスブックを運営するメタに続き、IT大手のアマゾンドットコムも大量解雇する計画だと、アメリカメディアが伝えました。事務職や技術職の計約1万の削減を近く始めるといいます。何が起きているのでしょうか?」

■コロナで業績好調も一気に「見直し」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「新型コロナウイルス禍で、アマゾンのネット通販を利用し始めた人も多いのではないでしょうか。リモートワークになってアマゾンのクラウドサービスを導入した会社も多いのではないでしょうか。こういったことがあり、アマゾンはとても収益を上げていました」

「従業員の数はコロナ前は80万人でしたが、今年9月には154万人と、3年で倍になりました。倉庫も次々に開設しました。事業を拡大しようと、遠隔医療サービスや配送ロボットの開発などにも力を入れてきました」

有働キャスター
「この事情が変わったと」

小野委員
「今アメリカで消費者は、一時ほどネット通販頼みではなくなり、企業でのクラウドサービス利用もそれほど広がらなくなりました。そこへ物価高でコストもかかり、今年7~9月期の当期純利益は去年は49億ドルでしたが今年は25億ドルと、半分になりました」

「事業の見直しを迫られ、今人員を削減し、倉庫も縮小、遠隔医療サービスは撤退、配送ロボットも中止となりました」

■米の利上げで…「景気後退」に警戒感

有働キャスター
「ここまで一気に畳むのですね」

小野委員
「アマゾンの創業者、ジェフ・ベゾス氏がアメリカメディアのインタビューで『景気後退がすぐにやってくる可能性が高い』と言っています。今、アメリカの急速な利上げにより、まもなく景気が後退するのではないかと警戒が強まっています」

「そして世界的に景気が後退する恐れもあると言われています。IT企業で人員削減が相次ぐのは、こうした景気後退に備える動きでもあります」

■巨大IT「大量解雇」相次ぎ…変化は?

有働キャスター
「GAFAはこのまま縮小なのか、また復活するのでしょうか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「その(復活の)ために人を切っている状態だと思います。大量解雇は今、(物価上昇と景気後退が同時に起こる)スタグフレーションになると言われているようなアメリカや国内状況、各国の状況を踏まえた上でやっていることです」

「成長局面では人を増やして事業拡大をしていたけれども、人を減らして利益を守っていく状態です。ものによりますが、もともとは人がいなくても回る業界です」

「アメリカでないと、やれないやり方です。日本では同じやり方はなかなかできません。黒字の企業が一気にこれほど人を切ることはないですから」

有働キャスター
「リセッション(景気後退)で大量解雇、この中にもビジネスチャンスは日本でありますか?」

落合さん
「日本だと円安なので、九州に半導体工場を移設するような話をずっとしています。あれはいいのではないでしょうか」

有働キャスター
「解雇された人たちをなんとかすることはないのでしょうか?」

落合さん
「ものによっては、例えばハードウェアならあるかもしれません。ただ、どの企業も各国の企業とつながっているので、日本のディビジョンでも解雇が進んでいることはありますね」

有働キャスター
「中国も含めて虎視眈々と『次』を狙っているでしょうから、ますます競争は激しくなるのでしょうか…」

(11月15日『news zero』より)