お中元にも影響? 円安で“旬のフルーツ”値上がり スーパー「手頃な値段で売れないのがつらい」
円安の影響が意外なところにも出ていました。桃やメロンなど旬のフルーツが、例年に比べ値上がりしています。また、温暖化や輸送費の高騰などを受けて、オレンジやキウイなどの輸入フルーツの価格も上昇していて、スーパーの社長は「手頃な値段で売れないのが一番つらい」と話します。
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暑い夏に食べたくなる冷たいフルーツ。都内の「タカノフルーツパーラー新宿本店」で提供していたのは、旬の桃をふんだんに使ったパフェです。記者が食べてみると、とてもみずみずしく、桃の甘みが口いっぱいに広がりました。
この時期、お中元の需要も高いフルーツですが、今年はさまざまな問題に直面しているといいます。
新宿高野 企画推進課 秋山智則部長
「小玉傾向ということで、大玉の桃は今展開していない状態。雨が少なかった分、大玉サイズのものが入荷が少なかった」
早い梅雨明けで気温が高く雨が少なかったため、お中元用の大きな桃が品薄になり、店の販売コーナーでは例年より2週間ほど早く、販売を中止したということです。
さらに、オレンジやキウイなどの輸入フルーツも、温暖化や輸送費の高騰などで例年より価格が上がっているといいます。
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20日、東京・墨田区のスーパーイズミでは、3個で537円の梨を販売していますが、その梨を買おうとしていたお客さんは、サイズが小さめで手が伸びませんでした。
主婦(40代)
「値段の割に小ぶりだなと」
桃に目をやると――
主婦(40代)
「桃にしても、『小ぶりの割にはちょっと高いかな』という感じは、去年よりはします」
夏の定番、スイカは1玉1350円でした。
会社員(50代)
「スイカ、この値段だと買うの躊躇(ちゅうちょ)する」
スイカは例年より3割から5割、輸入フルーツも3割から4割価格が上がっているといいます。
スーパーイズミ 五味衛社長
「手頃な値段で売れないのが一番つらいところで、ちょっと高すぎちゃって、ここへ来て円安、それで、これもずいぶん高い値段になっていますよね。3割、4割は高い」
値上がりの要因の1つと話すのが、円安です。
東京・大田市場の仲卸業者は「円安で国産フルーツの価格にも影響が出ている可能性がある」と話します。
有限会社八治商店 長妻英樹さん
「円安になって、フルーツは海外から見たら、ちょっと買いやすいのかな。日本産の果物が海外に輸出されることによって、価格が下がらない、もしくは少し高くなるということはあるかもしれない」
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「news every.」は、ブドウやモモなどフルーツの海外への輸出に力を入れている山梨県へ向かいました。
武藤農園 武藤千裕さん
「こちらが、うちで育てているシャインマスカットです」
立派に実ったシャインマスカット。1つの房につける粒の数を絞り、大ぶりで糖度の高いシャインマスカットに育てるといいます。
武藤農園 武藤千裕さん
「生産者からすると、いいもの作れば高く売ってくれる、高く買ってくれるっていうところに、やりがいというものを感じてますね」
山梨県では2021年、香港・台湾・タイなどへの輸出が伸び、輸出額は過去最高となった2020年を6割以上も上回る17億5000万円あまりとなりました。
20日朝、出荷するJAには、農家から運ばれてきたシャインマスカットがずらりと並んでいました。海外でも、贈答用などで需要が高いといいます。
JAフルーツ山梨 販売部 小林誠司部長
「日本の果物は非常に評価が高く(海外に)販売されていますので、果物全般に高単価で販売される要因じゃないかと思われます。海外の方で高く販売されますと、必然的に国内の方も高単価で販売の方が動いていると」
止まらぬ値上げの波に翻弄(ほんろう)される日々が続きそうです。