骨太の方針 最終案概要(1)
政府は30日に開かれる経済財政諮問会議で、経済財政運営の基本方針「骨太の方針」を閣議決定する。医療費抑制の観点から新たに「がん」に焦点をあて、がん検診をしたら保険料が安くなる仕組みなど病気の予防も重視した。夕方に議論される最終案の概要は以下の通り。
第1章 日本経済の課題と方向性
1日本経済の現状と課題
日本経済の課題
経済再生にむけて我が国の
潜在的な成長を高めていく
必要がある。
中長期的に、実質GDP成長率
2パーセント程度、
名目GDP成長率3パーセント程
度を上回る経済成長の実現を目指
す。また我が国の実質的な豊かさ
を示す実質国民総所得を高めてい
く。こうした成果を実現するため
には、政府はもとより、広く国民、
企業、自治体等が自ら意欲を持っ
て改革に参画することが不可欠で
ある。民間はデフレマインドから
脱却し積極的に自らの競争力、成
長力を高める一方、政府は公共サ
ービス分野への企業等の参画拡大、
国民や関係者の意欲を喚起するこ
とによる公共サービスの無駄排除
・質向上等の改革に取り組む。
①経済の好循環の拡大
実質総雇用者所得が上昇すること
が重要であり、政労使合意や決定
に沿って、政府、経済界、労働界
の取組を促進していく。
②潜在的な成長力の強化
成長志向の法人税改革、規制改革、
対日直接投資の拡大等により、ビ
ジネス環境を抜本的に改善し、ヒ
ト、モノ、カネ、情報の交流の結
節点となることで、さらなるイノ
ベーションを生み出していく。労
働供給の面では「人口急減・超高
齢化」への流れに歯止めをかける
とともに、働き方の選択肢を充実
し、長時間労働を削減するなど働
きたい人が働きやすい環境を整え
ることで、女性・若者・高齢者等
の労働参加率を高めていく。
2新たなステージへ移りつつある
東日本大震災からの復興
(原子力災害からの復興・再生)
避難指示等の出た12市町村の将
来像を、中長期的かつ広域的な観
点からとりまとめる。廃炉研究開
発、ロボット研究・実証、国際産
学連携等の拠点について、広域的
視点、持続可能性、避難指示解除
時期との関係などに配慮しつつ、
早期の整備・立地を進めるよう、
関係者との調整も含め、必要な取
組を進める。
第2章 経済の好循環の拡大と中
長期の発展に向けた重点課題
(サービス業の生産性向上)
労働力不足の克服がアベノミクス
の最大課題の一つである。中でも
雇用、GDPの7割超を占め、生
産性向上の潜在可能性が高いサー
ビス業において、「サービス生産
性革命」を推進する。これにより、
若者などの働き手にとっても魅力
ある産業とする。
(規制改革等)
国家戦略特区の取組を一層加速化
し、いわゆる「岩盤規制」のさら
なる突破口を開いていく。近未来
技術の実証を含め、本年内できる
だけ速やかに、地方創生特区第二
弾の指定を実現する。
(資源エネルギー)
2030年度のエネルギー需給構
造の見通しを踏まえ、産業、業務、
家庭、運輸各部門における省エネ
ルギーの強化、エネルギーマネジ
メントの推進、省エネ住宅・次世
代自動車・スマートコミュニティ
などの普及促進による徹底した省
エネルギー社会の実現、自然条件
によらず安定的な運用が可能な地
熱、水力・バイオマスの導入拡大
や太陽光・風力の出力不安定性へ
の対策、低コスト化に向けた取り
組みの推進等を通じた再生可能エ
ネルギーの最大限の導入と国民負
担の抑制の両立、火力発電の高効
率化、資源の安定的かつ安価な確
保のための権益獲得と供給源多角
化等に取り組む。メタンハイドレ
ート、レアアースなどの国産の
海洋資源の調査や実現化に向けた
取組等を進める。
(IT・ロボットによる産業構造
の改革)
人々の暮らし、社会を劇的に変え
るロボット革命を推進する。個人
番号カードを活用したワンストッ
プサービスや政府調達の全工程の
電子化等を通じ、公共サービスの
改革を進める。平成27年通常国
会に提出した改正個人情報保護法
において導入される匿名加工情報
を活用するとともにその適正な運
用を監督する個人情報保護委員会
の体制強化を進める。
(医療等分野のICT化の推進等)
医療資源を効果的に活用するため
の遠隔医療の推進、医療等分野で
のデータのデジタル化や地域医療
情報連携等の推進に取り組むとと
もに医療介護の質の向上、、研究
開発促進、医療介護費用の適正化
などの医療介護政策へのデータの
一層の活用や民間ヘルスケアビジ
ネス等による医療等分野のデータ
利活用の環境整備を進めるなど医
療等分野のICT化を強力に推進
する。
2女性活躍、教育再生をはじめと
する多様な人材力の発揮
3まち・ひと・しごとの創生と
地域の好循環を支える地域の活性
4安心・安全な暮らしと持続可能
な経済社会の基盤確保
(2)に続く