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TPP どうなる「豚肉」現場の期待と不安

2015年11月26日 23:05
TPP どうなる「豚肉」現場の期待と不安

 先月、大筋合意したTPP(=環太平洋経済連携協定)。政府は25日、農業対策などを盛り込んだ「政策大綱」を決定した。TPPにより、日本の農業はどう変わっていくのか。日本人の食生活に欠かせない豚肉に注目し、その期待と不安が入り交じる現場を取材した。

 東京・港区の豚肉料理店「チャールストン」。メニューのほとんどには品質が高い国産を使っているという。

 チャールストン・辰川弘康店長「お客様にはできるだけ安く商品を提供したいと思う」

 仕入価格のコスト削減へ。店側はTPPに期待をよせているという。

 現在、外国産の豚肉は値段が安い肉については、1キロあたり482円の関税がかかっているが、TPPが発効されれば、10年目以降は50円に引き下げられる。

 チャールストン・辰川弘康店長「(国産が)価格的に競争も激しくなるのではないか。海外の豚肉に負けない価格で提供していただけると期待している」

 一方、TPPにおいては、農家への対策が求められている。政府は25日、「TPP政策大綱」を発表した。

 安倍首相「地方の中堅・中小企業の海外展開支援、攻めの農林水産業に転換するための対策などが盛り込まれました」

 日本の農業をどう守っていくのか。また、外国産に負けないためにどう攻めていくのか、が焦点の一つとなっている。

 豚肉については、生産者の赤字を補てんする経営安定策を法制化する“守りの対策”や、生産コストを削減したり、品質向上を目指したりして、国際競争力を図るといった“攻めの対策”が記されている。

 日本人が牛肉の2倍消費する豚肉。対策が発表された今、生産者は政府に何を求めるのか。

 千葉県東庄町で養豚場「ピギージョイ」を営む高橋秀樹さん(53)。約5000頭の豚を飼育している。TPPについてはどのように考えているのか。

 ピギージョイ・高橋秀樹さん「国産を求めてくれる人はまだまだ多いと思いますけど、その中で国産の生産者で競争になる」

 「将来への不安」だけではない。

 ピギージョイ・高橋秀樹さん「(エサの)ほとんどが輸入の原料を使っているのでやはり高いです」

 生産費の約6割をしめるというエサ代。月に1000万円以上かかるという。

 フン尿を分離し、尿を放流できるまでにする浄化装置。高橋さんは、「これで7500万くらいしました」と話す。当時の制度で費用の約7割は国などから補助金がでたという。

 しかし、高橋さんは、「今は(浄化装置への)補助はないんです」と話す。

 「TPP政策大綱」では、生産能力につながる設備投資に力をいれるとしているが、どのような設備が生産能力向上につながるのか書かれていない。高橋さんは現状では投資しようにも投資できないという。

 政府は来年の秋をメドに今回の「政策大綱」をさらに具体化する方針。農家の不安を取り除き、農家自身が攻めの農業に打ってでられるような対策が記されるのか、政府の打つ手に期待がかかる。