“障害を価値に変える”社長の理念 1/5
ユニバーサルデザインの企画などを行う株式会社「ミライロ」の代表取締役社長・垣内俊哉さんに聞く「飛躍のアルゴリズム」。1つ目のキーワードは「バリアフリー情報をかんたんに投稿・閲覧 “私の行けた”が明日の誰かの地図になる」。
■バリアフリー情報を簡単に投稿できるアプリ
――バリアフリーマップというと障害者用トイレの有無や、段差などを表した地図だと思いますが、垣内さんが作ったマップは他のものとどこが違うのですか?
今回のバリアフリーのアプリというのは、ハンセン病の撲滅など、途上国の支援や障害者支援を行う日本財団さんとともに開発を進めてきました。このアプリは日本だけではなく、世界で使っていけるように開発していきました。
例えば、車いすで入店できるお店はどこにあるのか。今、国内であれば約10%のお店しか車いすでは入れないと言われているんですね。この10%を探すすべを設けるために、車いすで入れる店、障害のある方が使いやすい、高齢者が入店しやすいお店や施設を、明らかにしていこうとみんなが情報を集めて投稿するというアプリを作りました。
――実際のアプリの画面ですが、どのような特徴があるのでしょうか?
“エントリーステップ”というのがあるのですが、これは段差の数が何段あるのかがわかります。段差の有無というのは、色々な情報から集められていたのですが、段差というのも一段と二段では雲泥の差があるのです。一段であれば自分一人で上がれるかもしれない。もしくは、周囲の人に押してもらえば上がれるかもしれない。ただし、段差が二段、三段、四段となれば、車いすをかつがなければいけなくなってくるのですね。
ほかにも店内、施設が広いのか、静かなのか、明るいのか、クレジットカードが使えるか、コンセントが使えるかなどといった障害者が求める情報に限らず、みんなが求める情報を収集できるようになっています。
■健常者にも使えるアプリ
――障害者に限定しない情報があるのはなぜですか?
例えば、クレジットカードであれば、みなさんが現金を持ち合わせていないときに、どのように決済するのかというものだけではなく、視覚障害のある方も求めているのですね。紙幣で決済したくない、数えてもらうことを申し訳ないと思っている方もいるのです。
ほかにも、コンセントが使えるかどうかもパソコン、スマートフォンが充電できるかだけでなく、例えば電動車いすの充電ができるのかといった具合に、みなさんが求める情報と障害のある方が求める情報の共通項を集めていこうということをここでは行っています。
――この類いのアプリとしては、お店などの登録件数が多いようですね。
今までのアプリでは、通路幅が何センチという、誰がこれを測るのかという難しい問題があったのですが、このアプリではタップするだけで情報を投稿できるという手軽さもあって、いま国内では約2万件の情報が集まっていて、これは飲食店、ホテル、結婚式場など様々な施設の情報が集約されています。
――アプリの発表会でも、一般ユーザーが十分納得できるレベルのものだと感じました。
ありがとうございます。