バブル期以来……株価「3万2000円」超の最高値ナゼ インバウンドと半導体の需要増、企業業績もアップ…賃金は?
今年に入って上昇トレンドとなっている日経平均株価。5日、日本がバブルだった1990年以来の3万2000円台をつけましたが、バブル期と同じような状況なのでしょうか? 株価が上昇している背景や景気の実感、賃金アップにつながる可能性を取材しました。
有働由美子キャスター
「日経平均株価が、日本がバブルだった1990年以来の最高値を記録し、3万2000円台になりました。今年に入って急激に上がり、5日この価格になりました。ただ、今の日本の企業の価値に本当に見合っているのか、過熱しているのではないか、とも思ってしまいます」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「いろいろな人に『株価が上がっているが、どうか』と聞いてみました」
有働キャスター
「スーパーの店長は『ここ2か月、売り上げはやや上がってきている』、アパレル製造所の社長は『値上げしても仕事のお話が来るし、お得意先以外の新規発注も増えています』と話しています」
「ジワジワと景気が良くなってきているのを感じている人もいる、ということですね」
小野委員
「ジワジワ感じている人が出てきているのだなと私も思いました。背景には3つあるようです」
「インバウンド需要がアップしています。帝国ホテルの人に聞くと、客室稼働率は去年4月に約3割だったのが今年4月に約7割まで上がったといいます」
「次に半導体需要のアップです。今AIブームで、半導体を使います。日本が国を挙げて半導体産業を盛り上げようとしています。そのため業績アップが期待できます」
「そして、利益アップの企業が多いことです。TOPIXに採用されている3月決算の1431社の純利益合計額は、2年連続で過去最高を更新しました(SMBC日興証券まとめ)」
「このように日本企業の業績はまずまず良く、アメリカは金融の先行きが不安、中国も投資しにくいということもあり、海外の投資家が日本の株に目を付けているようです」
有働キャスター
「ただ、株価の上がり方ほど私たちの周りの景気は良くなっていない感じがします」
小野委員
「確かに、医療機器メーカーの社長は『景気は変わらない印象です。社長仲間に聞くと、『今苦しい』と言う人もけっこういます』と話しています」
有働キャスター
「賃金も十分に上がっていないと感じる人は多いです」
小野委員
「この先、賃金アップの期待が持てるのか。経済部の広芝記者が複数の専門家に取材したところでは『企業の業績アップの良い流れがしばらく続く可能性があり、それが賃金の上昇につながっていくことも期待できる』とのことです」
小野委員
「広芝記者による複数のアナリストへの取材によれば、バブル当時は上昇への期待だけで株価の数字が独り歩きしていたが、今は投資家も企業の好調な業績を背景としていて、その上で株価が上がっています」
「この点でバブルの時とは違います。ただ、行き場を失ったマネーが流入しているのは同じなので、手放しでは喜べないという専門家もいます」
有働キャスター
「私はバブル時代とその後を見てきましたので、株価で一喜一憂する気はないのですが、人口減少の日本で今後どうやって稼ぐ力をつけていくのでしょうか」
「半導体、AI、電気自動車…。その出遅れを埋める作業だけではなく、政府は幅広くアイデアを集めて、未来を見据えてバックアップしてほしいです」
(6月5日『news zero』より)