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佐山展生氏語る“企業再生の本質” 1/4

2016年7月21日 19:57
佐山展生氏語る“企業再生の本質” 1/4

 キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。今回のゲストは、インテグラル代表取締役パートナー・佐山展生氏。投資ファンドの代表として、数々の企業へ投資を行ってきた佐山氏に企業改革の極意を聞く。

 佐山氏は、京都大学工学部卒業後、帝人、三井銀行を経て、M&Aのアドバイザーや投資ファンドの会社を設立。2006年、阪急ホールディングスと阪神電鉄との統合では、阪急側のアドバイザーを務め、阪神株を大量に取得した村上ファンド側との交渉にあたった。2007年、インテグラルを共同設立し、現在、代表取締役パートナーに就任。ヘアカットチェーン店のQB(キュービー)ハウスやラグジュアリーファッションブランドのヨウジヤマモトなどの投資実績がある。

 佐山氏といえば、去年スカイマークが経営破たんした時に、いち早く支援に乗り出したことでも知られている。最初のキーワードは「スカイマーク破産の危機、わずか5日で90億円の再生案を決定」。スカイマーク支援の舞台裏とは―


■しばらく連絡がなく「万策尽きた」

――スカイマークは当初、破産を考えていたそうですが、そんな中で、出資に至る経緯にはどんな流れがあったのでしょう。

 一昨年の秋ですね。大手2社、ANAさんとJALさんがコードシェアをするとかしないとかですね。そういったことをおっしゃってました。その時に、どこかの航空会社が支援されるのであれば、我々は支援する準備がありますというふうに西久保さんにお話をして、いろんな資料をいただいたりしました。

 その後ですね。昨年の1月はANAさんだけにしぼって話をされて、最終的に話がまとまらなかったということだった。従って、我々はどこかの航空会社が出すのであれば、投資をする集団だと前の会長や社長は、思っておられたと思うんですね。

 したがって、しばらく連絡がなかったんです。しかし、昨年の1月の末というのは資金繰りがつかないしんどいタイミングだったので、前会長の井手さんに1月23日の金曜日の夜に「どうですか?」と言ったところ、「万策尽きたので、明日から清算の準備をします」と言われたんですね。


■「ちょっと待ってください、大至急やりましょう」

 そこで「ちょっと待ってください」と。最低限、民事再生できると思ったんで、「大至急やりましょう」と言って、23日金曜日の夜から電話会議をして、その土~月曜日の間に、我々インテグラルから5名、弁護士や会計士が、羽田の本社に詰めて、その3日間の睡眠時間の合計が1時間とか聞きました。

 とにかく全部伝票見て、どのタイミングで民事再生を申し立てないと間に合わないか、すなわち、お金が無くなったら、もう破産ですから。それが1月29日だったんですね。

 したがって、そのタイミングで申し立てをしたらですね。払わないといけない伝票と、払わなくていい伝票が出てくるんです。それ全部伝票を仕分けして、最低限これだけのお金を準備したら大丈夫という結論が90億円だったんです。90億円準備すれば、夏場にはお金がどんどん入ってくる状態にはなるので、“乗り切れる”ということで投資の決断をしました。


■予定の半分、45億円で再生できた

――そういう大変な状況だったと思うのですが、それを即決で投資を決められたというのは、相当な決断だったと思うんですけども。

 いやいや、以前のJALさんの会社更生の場合は、かなり複雑な状況だったので、いろんなことをする必要があったんですね。ところがスカイマークの件は、比較的シンプルで、「エアバスA330」という比較的大型機ですね。それを飛ばしてコスト高になっていたこと、それから「エアバスA380」という超大型機の契約をしてしまったというのが破綻の原因なので。その2つさえ解約すれば、「ボーイング737」一本に絞れば回っていくという自信はありましたので、我々としては、それほどリスクはない。

 しかし、当然ですけども、従来の皆さんが不安で離職してしまったり、あるいはお客様から見放されてしまったらおしまいなので、そうならない手立てを打っていかないといけない状況でした。

――佐山さんの中では、90億円あれば、十分に再生できると?

 90億円準備すれば大丈夫だと言っているにも関わらず、いろんなところから、そんなの2~3か月でなくなるぞと言われました。何言ってるんですかと。実際にはですね、その半分の45億円だけで済んだんですよ。当然将来の予想をするというのは堅めにしますから、プロジェクトチームが「90億円で大丈夫」だと言ったら大丈夫だと。完璧に信頼してますから。

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