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【解説】ドイツに抜かれ…日本のGDP世界4位に さらに転落も? 課題は

2024年2月15日 20:32
【解説】ドイツに抜かれ…日本のGDP世界4位に さらに転落も? 課題は

15日、去年1年間のGDP(=国内総生産)が発表され、日本はドイツに抜かれ、世界3位から4位に転落しました。「なぜ4位に転落したのか」「日本経済が停滞しているワケ」「日本経済は浮上するのか」の3点について、日本テレビ経済部の藤吉有咲記者が解説します。

■なぜ4位に転落? 円ベースなら実は“過去最高”

藤井貴彦キャスター
「まず1つ目、なぜ4位に転落したのでしょうか」

日本テレビ経済部・藤吉有咲記者
「まずGDP、つまり簡単に言えば、去年1年間で日本がどれだけもうけを生み出すことができたのかを表す指標になるのですが、2009年まで日本はずっとアメリカに次ぐ2位(の経済規模)だったのですが、その後、2010年に中国に抜かれ、そして今回4位にまで転落してしまったことになります」

「ただ日本のGDPの金額を見てみますと、去年はコロナ禍で落ち込んだサービス産業の需要回復などで、実は円ベースでは過去最高を更新しているんです」

藤井キャスター
「なるほど。ではドイツが3位に上がったということですが(ドイツが)よほど良かったということなのでしょうか?」

藤吉記者
「はい。実は、実態としてはそういうわけでもないのです。ドイツのGDPが上がった要因なのですが、ウクライナ侵攻の影響で日本以上に物価が高騰して、数字上、押し上げられた形になります」

藤吉記者
「さらにもう1つ、『円安』が今回、逆転してしまった大きな要因になっているんです。今も歴史的な水準までドル高・円安が進んでいますが、GDPは世界で比較する場合は、通常ドルに換算するので、日本のGDPをドルに直すと、ガクッと下がってしまうということなんです」

「去年3月ごろの1ドル約132円であれば、逆転はされなかったということになります」

■日本経済の停滞 課題は「労働生産性の低さ」「少子高齢化」

藤井キャスター
「円安の影響を受けているということですが、要因を気にすると、日本経済、そこまで気にしなくても大丈夫、という風にも聞こえますが。2番のポイントにあるように、日本経済はずっと停滞してきたんですよね?」

藤吉記者
「はい、今回の短期的な要因としては、円安で目減りしてしまったことはもちろんあるのですが、日本経済は長年停滞を続けています。課題は労働生産性の低さです」

藤井キャスター
「労働生産性…?」

藤吉記者
「こちらのパネルは、ヨーロッパや日米を含むOECD(=経済協力開発機構)加盟国38カ国への調査で1人、1時間あたりどれだけのもうけを生み出しているかを表したものになります。これを見ると日本は、実は下から数えた方が早い、30位となっているんです」

藤井キャスター
「38カ国中の30位ということですね」

藤吉記者
「アメリカの6割ほどの生産性にとどまっていて、平均値よりもかなり低くなっています。そして日本経済のもう1つの課題は少子高齢化です」

「人口がどんどん減ってしまいますと、その分、消費者も働き手も減ってしまうことになりますので、逆に人口が爆発的に増えているインドに日本が(GDPで)抜かされるのも時間の問題と言われています」

■今後、どうやって日本経済を浮上させるのか?

藤井キャスター
「つまり4位からさらに5位に転落する可能性もあるということですが…3つ目です。今後、日本経済をどう浮上させるのでしょうか?」

藤吉記者
「日本では30年近く、企業が人件費を抑えてコストカットする方向に動いてきました。それがようやく今見直されて、人材育成であったり、設備投資で生産性を上げるなどの動きが出ています。この流れで日本経済をこのまま浮上させることができるのか、今が正念場となっています」