×

MS樋口氏“IT巨人”の危機感と未来図3

2016年9月22日 16:19
MS樋口氏“IT巨人”の危機感と未来図3

 日本マイクロソフト執行役員会長の樋口泰行氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「日本マイクロソフトを“日本に根差す”会社に目指す方向を全社員に示す」。樋口氏が変えたかったという社員の意識とは?


■「給料は天から降ってくる」という考え

――樋口会長が社長就任直後には、リーマンショックがあって苦しい時期もあったと思いますが、まずどんな改革から始められたのでしょうか。

 本社は強い危機感を常に持っているのですが、この日本マイクロソフトは必ずしもそうではなく、ご存知の通り“Windows”とか“Office”といった製品はありがたいことに、シェア的にも割と独占的なシェアを持っています。そのため人によっては、放っておいても物が売れる時代を経験しているので、自分の給料は自動的に天から降ってくるというような考えを持つ人も多くいました。しかし、そうではありません。我々の給料は全てお客様のポケットから出ています。お客様の方を向かずして、一体どこを向いて仕事するんだというマインドが不足していました。顧客視点というところに戻し、この日本に根ざして日本の社会に貢献する、日本のお客様のために貢献する、というところに軸足を戻すことが一番基本の改革でした。

――ダイエーのとき現場にも回られたという話もありましたが、このときも、自ら取引先に回られたりしたのですか。

 そうですね。最初、300社ほど回りましたけど、その後も継続的にできる限り、現場に出て、現場の人たちと一緒に戦うという姿勢を見せるようにしてきました。


■“日本マイクロソフト”という社名にした理由

――日本マイクロソフトという社名に変えたのも樋口さんだということと、品川の新社屋の移転でも数々の工夫をされたということですが…

 単にそのマイクロソフトの前に日本をつけただけなのですが、とにかく我々は日本の会社で日本に受け入れられて、日本のお客様のために存在するということをモットーとして、それで社員が一つになって頑張るということで、中向きにも外向きにはそれを示すために日本というふうにつけたということですね。

 あと社員間のコミュニケーションですが、隣に座っていてもEメールでコミュニケーションしたりとか、変に個人主義的なところが、はびこっていたので、やはり“フェース トゥ フェース”が一番インパクトがありますからそれを大事にして、そのためにそれを最大化するために分散していたオフィスを一つにまとめて社屋を移転して働き方を改革したという経緯があります。