学歴より行動量、ノルマなしの組織作り 1
様々なジャンルのフロントランナーを招き、キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。今回はITや家電など様々な事業に取り組んでいる「エスキュービズム」社長・薮崎敬祐氏。顧客目線にこだわるIoT製品の開発舞台裏や、ITと家電を両立させながら急成長をしている経営戦略について聞く。
■薮崎氏の経歴
1979年生まれの37歳。2004年に東京大学大学院経済学科を修了後、リクルートに入社するも1年半で退社。2006年に「エスキュービズム」を創業。ECのパッケージ開発、販売から現在はITだけでは無く、家電の製造、そして中古車販売まで、幅広い事業を展開している。
■昔ながらのCDプレーヤーが売れている
――今日は、開発された商品を持ってきていただきました。見せていただけますか。
弊社の主力商品はITの企業向けの製品で、家電もテレビなんかが売れているんですが、ちょっと意外性のある商品を持ってきました。うちで結構、売れているのはこのCDプレーヤーなんです。これは昔ながらのCDプレーヤーで、今は皆さん、使わないし買わないと思うのですが、実はこれがすごく売れています。
――お店にもあまり並んでいるイメージがないです。そういったものが手に入るんですね。
そうですね。例えば通信販売の英語教材のプレゼント商品になったりとか、あとは高齢者の方が、昔のCDを聴くのに買ったりとか、そんな用途で非常に売れています。
――かえって、新しい感じがしますね。その他にも教えていただけますか。
あとは、LEDで野菜などが育つ“水耕栽培装置”というものを作っております。部屋の棚の上などに置いてそこでレタスとかバジルとか、そういったものが栽培でき食べられるという商品です。
■IT企業なのに家電?
――薮崎さんの会社は最初に、IT企業というご紹介をさせていただいたんですが、そのイメージと少しかけ離れているような印象も受けるんですけれど。
もともとITでやっていたんですけれども、今後そのITをどう応用していくかという時に、やはり何かモノに入れていかなくてはいけない。そのときにこのハードウェアを作る技術が欲しいと思い、家電事業にもチャレンジして事業としても成立させています。
――何種類くらい商品を作られているでしょうか。
30種類ぐらいは作っていると思います。
――薮崎さんは、まずリクルートを辞めて、最初に起業した時はインターネット通販を立ち上げる会社にパッケージを提供するような、そういったことをされていたと思います。しかし今は、家電事業の売り上げがほぼ一緒ということで、どちらに力を入れているんでしょうか。
どちらも必要で、もちろんITの方がいわゆる利益率は高いんですね、売り上げは低いけど利益率は高い。一方、家電は利益率が高くないけれども、売り上げが伸びる。どちらもとても重要で、将来やっていこうと思っていることは、このふたつを融合させることなので、どちらも同じぐらい力を入れています。
これまでのITというのは、インターネットのサイトを作って、なんだかをやりますよっていうだけだったのですが、これからはそれが“スマートハウス”とかいわれているように家の色々なものがインターネットで外から操作できるとか、そんな時代になってきた時に、何かに組み込むにはやっぱり“モノを作る”という技術が必要で、そのために今、家電の事業にも力を入れてやっています。
■トップを目指さないワケ
――起業から10年、そうしたビジネスを成功させる極意とは何なのでしょうか。最初のキーワードは、「トップは目指さない。気づいたら1番に」トップは目指すものだと思っていたんですけど、どういうことでしょうか。
最初からトップだと、どの事業もやっぱり1番の企業はいるんですよね。5年10年やっている企業の製品とか商品とかって結構すごいレベルになっていて、そこに追いつこうと思うと、一朝一夕にはいかないんですよね。1年、2年かけてもなかなか追いつけなかったりすると、どうしてもやる気が出ないというか、もうだめだと思ってしまいます。
私がやっているのは、とりあえず目の前のお客さんにまずは応える。きちんと応えて事業として成立させ、それを繰り返していくと、いつの間に手の届かなかったようなトップ企業を超えているというような状況になっています。
■気づいたら1番に
――実際に気づいたら、1番になっていたというものはありますか?
弊社が1年目からやっているeコマースというネットでモノを売るシステムの販売なんですけど、これは2007年から始めています。これは2000年からやっている企業は5社から6社あったんですね。弊社の方は、そことはもう全く戦えなかったので、オープンソースという違った技術を使って、目の前のお客さんから安い金額で応えるということをやっていきました。
そこで得た知識をそのまま商品に生かしてどんどん大きくしていくと、今では3年連続、日本でシェアナンバーワンという…気づいたらそうなっているという感じです。