ライフネット社長 多忙だからこそ丁寧に3
様々なジャンルのフロントランナーを招き、キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。今回は「ライフネット生命保険」岩瀬大輔・代表取締役社長。2つ目のキーワードは「ニッチな分野で圧倒的なポジションを作らないと!」
■チャレンジしないと存在意義はない
生保業界は非常に大きな業界で、古くからいる会社がたくさんありますので、新参者として、いわばチャレンジャーとして入っていくには、やはり他社さんが必ずしもやっていない小さな分野でもいいので、そこで早く動いてリーダー的なポジションを作るしかないと思っていますね。
――他社に先駆けた商品をいくつか紹介してもらえますか。
一つは「就業不能保険」です。これは亡くなった時ではなくて、病気やケガで長期間働けなくなった時にお給料代わりに出る保険なんです。
ちょうど1年ぐらい前から(同業の)大手さんがかなり積極的にPRを始めたので、少しずつ認知が高まってきたんですが、これは欧米では一般的にみんな入っている保険なんですね。でも日本では、我々が2010年に発売するまでは、どこも出していませんでした。
でも、これから医療技術も発達して、どんどん長生きするリスクがあるなら、「亡くなった時に備える保険」じゃなくて、「生きていくための保険」が必要ではないかと思いました。
2つ目は「同性パートナー」です。2015年に東京都渋谷区が、同性のパートナーに対し、異性の夫婦間と同じように取り扱う証明書を発行するという流れがありました。
我々も業界で初めて、生命保険も異性のパートナーだけではなくて、法律上の夫婦ではなくても夫婦とみなせるような事実婚状態がある同性の方であれば、同性でも異性であってもそれは同じではないか、つまり新しい家族の形を選ばれた方々も同じように取り扱うべきという動きはしました。
最後は「スマホ生保」です。これはスマホで生保の申し込みも支払いの請求も全て完結するという取り組みです。
まだまだこれからなんですけど、少しでも新しい分野に挑戦していきたいと思ってます。
――同性パートナーでも受け取れる保険は、「いいアイデアが出た→すぐに」というスピード感ではなく、商品化までに何年かかかったとうかがっていますが。
やっぱり社内でも慎重な意見が出ました。ただ、若手中心に「これは絶対やりたい。僕らがやらなくて誰がやるんですか」ということで、医者や弁護士、当事者団体などいろんな方々と議論を重ねて、「期が熟した」ということで、渋谷区と同じタイミングでリリースしました。
――社内的な反対があったという主な理由は何だったのですか。
やはり、やったことないものなのでいろいろなリスクが見えない怖さがあったんじゃないですかね。保険の支払い回りの事務手続きであったり、「夫婦じゃないから診断書をちゃんと発行してもらえないんじゃないかな」とか。
あとは「レピュテーションのリスクはないのか」「健康のリスクはどうなんだ」とか、そういったいろいろなリスクを一つずつ丁寧に潰していったら、「実はこれ、問題ない」ということがわかって、踏み切ることにしました。
――本当にやったことないことにチャレンジされていますよね。
せっかく新しい会社を作ったので、新しいことにチャレンジしないと我々の存在意義はないと思っています。