コンビニ進化で品揃え増加 セブンの新業態 目をつけたのは“調理定年”と“タイパ”
コンビニでは買えないものをスーパーに買いに行く。近い将来、こうした手間が減るかもしれません。セブン&アイ・ホールディングスはコンビニエンスストアに食品スーパーの要素をプラスした「SIPストア」の1号店を2月29日、千葉県内にオープンします。きっかけとなったのは、「調理定年」者や「タイパ」世代です。
「SIP」はセブンイレブン、イトーヨーカドー、パートナーシップの頭文字をとったもので、文字通り、従来のコンビニにグループのスーパー、イトーヨーカドーの要素を組み合わせた新しいコンセプトの店です。
店舗面積は標準的なコンビニの1.5倍。コンビニよりも肉や野菜といった生鮮食品やチルドなどを拡充するほか、グループ各社の商品、例えばアカチャンホンポのオムツやおしりふきなども置く予定です。品ぞろえはコンビニの2倍程度になります。
少子高齢化が進むなか、近い将来、3人に1人が65歳以上に。家族のために食事をつくるのが当たり前というルーティンから解放される「調理定年」を迎える人が増えています。一方、若い世代では共働きが増え、調理に時間をかけない「タイパ料理」の需要が高まっています。
さらに、コロナ禍以降、高齢者を中心に自宅近くで買い物をする人が増加し、コロナ禍が収まっても、いったん定着したこの傾向はあまり変わらないといいます。
こうしたことから、“近くのコンビニ”で日常の生鮮や冷凍の食品などを買えるようにするねらいで、今後は、立地や地域の需要に合わせて売り場面積や品ぞろえを柔軟に変えながら全国に拡大していく考えです。
セブン&アイグループではイトーヨーカドーの業績不振が続き、昨年ついに、自社開発の衣料品事業から撤退することを決めました。SIPストア事業は、祖業の「衣料品」をやめ、「食」に力を入れていくと宣言したセブン&アイの目玉政策のひとつで、その行方が注目されます。